コンクリート打ちっぱなし物件はどうなの?メリットやデメリット
コンクリート打ちっぱなしの建物はデザイン性が高く、購入や建築を希望する方もいるのではないでしょうか。
しかし、コンクリート打ちっぱなしにはメリットだけでなくデメリットもあり、どのような性質をもつのか理解せず購入・建築すると後悔するおそれもあります。
本記事では、コンクリート打ちっぱなし物件のメリット・デメリットやメンテナンスの必要性まで解説します。
コンクリート打ちっぱなしとは
コンクリート打ちっぱなしとは、RC造(鉄筋コンクリート造)やSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)の仕上げのひとつで、コンクリートがむき出しのままになっているものです。
RC造やSRC造で建築した場合は通常、構造体であるコンクリートに対して壁紙やフローリングを貼って仕上げますが、コンクリートはデザイン性が高いため、あえて貼らないケースがあります。外装の場合はタイルやサイディングなどで保護しますが、撥水剤を塗布してそのままにすることもあります。
なお、壁がすべてコンクリートでできているわけではありません。構造ではない壁の部分はボードで仕切っているだけであり、コンクリート打ちっぱなしではない場所があることには注意しましょう。
コンクリート打ちっぱなし物件に住むメリット
コンクリート打ちっぱなし物件に住むメリットは、以下のとおりです。
- デザイン性の高い住宅に住める
- 防音性に優れている
- 木造よりも火災保険料が安くなる
それでは、どのようなメリットがあるのかみていきましょう。
デザイン性の高い住宅に住める
コンクリートは質感がよく、スタイリッシュな空間を演出してくれます。
スポットライトで明るさを調整したり、うまく木目調を配置したりすればおしゃれカフェのような空間になります。物件によっては外光をうまく採り入れるため、ガラスブロックをコンクリートのなかに埋め込み、非日常な雰囲気を出している物件があるのもコンクリート打ちっぱなしの特徴です。
また、RC造やSRC造は木造よりも強度が高く、広い空間を設けても建物の強度を維持できるため、木造では作れない広いリビングや全室が一体化したような間取りも実現可能です。
防音性に優れている
RC造やSRC造は、木造に比べて防音性に優れた構造です。
音が伝わるのは空気を振動させてしまうのが理由のひとつであり、木でできている部分は振動を伝えてやすい部分です。また、木は隙間があり、音の通り道ができてしまいます。
しかし、RC造やSRC造は強固な物質であり、振動を伝えにくく隙間もできにくいため、静かな生活を送りやすい構造です。
家族で生活のリズムが異なり、寝ているときにリビングで活動する人がいるとしてもある程度の音であれば防げます。
防音性の高さは生活のストレス軽減につながるため、非常に重要な要素といえます。
木造よりも火災保険料が安くなる
RC造やSRC造は木造よりも火災に強く、火災保険料が安くなります。
火災保険料は建物の火災の強さに応じてM構造・T構造・H構造の3つに分類されます。もっとも火災に強いのがM構造、一番弱いのがH構造です。
共同住宅以外のRC造・SRC造はT構造で、木造はH構造であるため、基本的にはRC造・SRC造に比べて、木造の火災保険料のほうが高くなります。
ただし、省令準耐火建物といった耐火構造になっている木造は、T構造に区分されます。このような建物ならRC造・SRC造と火災保険料は同じ計算方法となり、金額の差があまり出ません。
コンクリート打ちっぱなし物件に住むデメリット
コンクリート打ちっぱなし物件には、以下のようなデメリットもあります。
- 外気の影響を受ける
- 結露が発生しやすい
- 汚れが目立つ
メリットとデメリットを理解したうえでコンクリート打ちっぱなし物件を購入・建築すれば、満足いく生活が送れるはずです。
外気の影響を受ける
コンクリートはすぐ熱くなるうえ、冷めにくい性質をもつため外気の影響を受けます。
コンクリートは熱伝導率が高く、断熱性の低い建築材料です。太陽の光を直接浴びるとコンクリートに熱が蓄積し、なかなか冷えないという性質ももっています。コンクリート55センチメートルの断熱性は、木の5センチメートルと同じとされていることから、いかに低い断熱性なのかがわかります。
蓄積された熱が常に放射される状態になると、部屋の温度が下がらず、エアコンを稼働させる時間が長くなるのもデメリットです。昼間に溜まった熱が夜まで放出され続けることも珍しくなく、就寝時に寝苦しい夜を迎えるケースもあるでしょう。エアコンの稼働時間が長くなれば光熱費の上昇も招いてしまいます。
コンクリート打ちっぱなし物件を購入・建築する際には、断熱対策ができているかメーカーに確認することが大切です。
結露が発生しやすい
コンクリートは断熱性が低く、外気と室内に気温差を作りやすく結露を発生させる原因になります。
コンクリートは吸湿性が低いため、水蒸気を室内に多く含んだままの状態となります。水蒸気が多い状態でエアコンやヒーターを利用すると、内側と外側に気温差ができた窓に結露が発生するわけです。
結露が酷くなると水が窓枠などに伝ってしまい、カビの発生につながります。カビはアレルギーを引き起こす要因のひとつで、発生したまま放置すると健康状態を悪くします。
結露を防ぐには、結露防止シートを窓に貼るといった対策が必要です。
汚れが目立つ
コンクリート打ちっぱなしの外壁は黒ずんだり、カビが生えたりして汚れが目立ってしまいます。
コンクリートの内部にある鉄骨まで水が浸入すると、鉄から発生する物質によって表面が黒ずんでしまいます。また、コンクリートの表面は乾燥しにくい特性があり、日陰になる部分にはカビが増殖するケースも存在するため注意しなければなりません。
コンクリートの黒ずみやカビは清掃すれば取れるものの、高い位置で発生したところをキレイにするのは転落のリスクを負うため、費用を払って清掃業者に依頼する必要もあるでしょう。
コンクリート打ちっぱなし物件が高くて購入・建築できないときの対策方法
RC造・SRC造は木造よりも高く、購入代金も建築費用も高くなります。国税庁の「地域別・構造別の工事費用表(1m2当たり)【令和6年分用】」では、全国平均の建築単価(平方メートル)は木造で20.7万円、RC造30.4万円とされています。建築単価が1.5倍も違うことから、購入・建築をあきらめている人もいるはずです。
そのような方には、以下の方法がおすすめです。
- コンクリート打ちっぱなし柄の壁クロスを貼る
- コンクリート風のタイルを置く
- コンクリートにみえる塗装を塗る など
コンクリート打ちっぱなしは人気があり、コンクリートの雰囲気が出るさまざまなアイテムが販売されています。壁クロスを貼り付けたり、ボードに塗装を塗ったりすればコンクリート打ちっぱなしの物件を疑似体験できるはずです。
コンクリート打ちっぱなし物件のメンテナンスと費用
コンクリート打ちっぱなし物件は木造と同じく、維持するのにメンテナンスしなければなりません。
主なメンテナンスとおおよその費用は以下のとおりです。
メンテナス工事名 | 費用目安 | 工事周期目安 |
外壁清掃 | 100~300円/平方メートル(水道水) 200~400円/平方メートル(バイオ洗浄) |
5年に1度 |
撥水剤の塗布 | 1,500円/平方メートル | 5年に1度 |
弾性塗料の塗布 | 3,000円/平方メートル | 10年に1度 |
ファンデーション工法 | 5,000円/平方メートル | 10~15年に1度 |
ひび割れ補修 | 1ヶ所につき2万円程度 | ひび割れ発生時 |
コンクリート打ちっぱなし物件には、構造特有のメンテナンスが必要です。どのようなメンテナンスがいつ必要なのか理解し、工事費用を貯蓄しながら生活することが大切です。
まとめ
コンクリート打ちっぱなし物件は見た目がスタイリッシュでなうえに、防音性に優れるといったメリットがあります。
しかし、外気の影響を受けやすく結露しやすいというデメリットもあるため、コンクリート打ちっぱなしの良し悪しを理解してから購入・建築を決断しなければなりません。
また、コンクリート打ちっぱなし特有のメンテナンスが発生する点にも注意しましょう。
デメリットやメンテナンスについて把握しておけば、対策が実行でき不満のない生活が送れるはずです。