災害に強い家づくりのための設備は?家を建てる前に確認するべき事項!
家を建てるとき「災害に強い建物に住みたい!」と誰しも思うことでしょう。近年は災害の発生件数や被害が多いため、災害に強い建物・設備の建築が不可欠です。
どのような建物・設備が災害に強いのか理解してから建てれば、安心・安全な家が建てられるでしょう。
本記事では、災害に強い家の特徴や、何を優先して建てればいいのか解説します。安心して住める家を建てたい人は、記事の内容を参考に建築計画を立ててみてください。
災害に強いのはどのような家?
そもそもですが、災害に強い家とはどのようなものか漠然と考えている人が多いように思います。そこで、まずはどのような家が災害に強いのか、分類してみましょう。
- 被害を防ぐ効果のある設備が設置されている
- 被害の出にくい土地に建っている
- 建物を支えられる間取りで設計されている
- 災害に強い構造で建築されている
このように分類すれば、災害に強い家を建てるのに必要な項目が洗い出せます。できる限り多くの項目の条件を満たすよう、土地探しや設計を進めれば災害に強い家が完成します。
ここからは、各項目の詳細について解説しますので、家を建てるときの基礎知識として覚えておきましょう。
災害に強い設備
災害に強い設備の代表例は、次のとおりです。
- 重量物が飛来しても安心なシャッター
- 大きな揺れでも開かない耐震ラッチ
- 停電しても安心のV2H蓄電システム
- 停電でも水が流せるトイレ
- 断水しても生活用水として使える電気給湯機
災害に強い設備を設置すれば、被害の程度を減少させられます。安心した暮らしを手に入れるためにも、どのような設備が災害に強いか把握しましょう。
重量物が飛来しても安心なシャッター
暴風の際でもシャッターがついていれば、窓が割れる心配もありません。
シートを貼る方法もあるものの、ガラスの飛散を防ぐだけであり、割れるのを防止することはできません。ガラスが割れると外気が侵入してしまい、暑い時期や寒い時期だと災害時の生活に大きな影響を与えてしまいます。
しかし、シャッターを設置しておけば、窓自体の割れを防げます。また、シャッターをつけておけば、火災の延焼を防ぐことが可能です。窓は炎の勢いを防げず、室内に火が入り込んでしまいます。外壁に防火性があったとしても、室内の家具や電化製品などが燃えてしまうと、火災の被害が大きくなってしまいます。
大きな揺れでも開かない耐震ラッチ
家具や食器棚の扉に耐震ラッチを設置すれば、大きな揺れが発生しても開きません。
大地震が発生した際には、家具や食器棚などの扉が開いてしまって中身が飛散します。強い揺れだと重いものまで飛んでくるため、大きなケガにつながってしまい危険です。
しかし、耐震ラッチを設置すれば、一定以上の揺れを検知して自動的に扉をロックしてくれます。
扉が開かないようにしておけばケガする確率が下がり、収納物の破損も防げます。大きな災害が起きると建物の補修や、備品の再購入にお金がかかるため、耐震ラッチをつけて少しでも壊れるものを減らしておきたいものです。
停電しても安心のV2H蓄電システム
V2H蓄電システムがあれば、太陽光を利用して発電した電気を蓄電池と電気自動車に充電が可能です。
電気を貯めておけば、太陽が出てないときに生活用電源として使えます。風水害が発生した場合、一日中暗くなるケースもあり、蓄電できる設備がないと電気が使えなくなるおそれもあります。
また、大地震が発生した場合、給油所のガソリンが枯渇することもあるため、電気自動車とV2H蓄電システムを組み合わせればより安心です。
停電でも水が流せるトイレ
停電時でも水が流れるトイレなら、災害時も衛生管理をおこなえます。
現代のトイレは電気を使って水を流しているため、停電時には水が流れなくなります。トイレを使ったまま放置すると、さまざまな悪影響を及ぼしかねません。
停電でも水が流せるトイレには、乾電池を利用したり手動で水が流せたりできるよう配慮されているものがあります。
ただし、断水時にはタンクに水を補充する必要がある点には注意しましょう。水は生活するために重要であるため、普段から貯めておける環境をつくっておくことが大切です。
断水しても生活用水として使える電気給湯機
電気給湯器の中には貯湯式になっているものがあり、停電時にタンクのお湯を使えます。
また、最新の電気給湯器には、注意報や警報が発令されたときに自動で貯蓄するお湯の量を増やす機能がついてものもあります。
非常用で使うお湯は飲用ではないものの、洗濯に利用できて便利です。
災害に強い土地
地震や水害などに強い土地に建物を建てれば、災害に強い家になります。
土地の地盤が強いと地震の揺れを軽減してくれ、高台といった水が溜まりにくい立地なら浸水を防いでくれます。
地震や水害の被害を受けやすいかどうか調べる際には、自治体が公表している「ハザードマップ」を利用しましょう。ハザードマップには、災害を受けやすい地域に色塗りがしてあり、被害の大きさがわかる地図です。
ハザードマップはあくまで地域の危険度を示したものであり、購入する土地の状況によっては被害の度合いが変わる点に注意が必要です。
たとえば、ハザードマップ上では浸水の被害が少ない地域に該当していたとしても、周囲よりも一段低い立地にある土地は水に浸かる可能性があります。また、地震に弱い地域だとしても、たまたま土地の下に支持基盤があって揺れにくい場所かもしれません。
ハザードマップとは違う結果になる土地もあるため、気に入った場所が見つかったら、ハウスメーカー・工務店の人に災害に強いのかみてもらうといいでしょう。
災害に強い間取り
シンプルな間取りにすると、地震に強い家になります。
大きな地震が発生すると家が揺れ、外壁に圧力がかかります。四角形といったシンプルな形の家であれば、壁同士が揺れを吸収してくれますが、複雑な形状だと揺れの圧力が溜まる箇所が発生し倒壊・損傷しやすくなるため注意しなければなりません。
また、建物内の壁も耐震性に大きく影響します。
建物は柱だけでなく壁によって支えられており、開放的すぎる間取りだと耐震性が低くなります。適度に壁を配置して建物が支えられるように配慮することが大切です。
災害に強い建物の構造
建物には、次のような構造があります。
- 木造
- 軽量鉄骨造・重量鉄骨造
- 鉄筋コンクリート造
以前、木造は耐震性・耐火性が低く、鉄骨造や鉄筋コンクリート造は高いといわれていましたが、建築技術の進歩により木造の耐震性も耐火性も向上しています。
ただし、ハウスメーカー・工務店によって、耐震性・耐火性が異なるため、各建築会社の標準基準を比較することが大切です。同じ木造の建築会社でも、耐震性・耐火性が大きく異なるケースがあるからです。
災害対策の優先順位
災害に強い家を建築する場合、完成後に変更できない箇所を優先しましょう。
たとえば、建物完成後に「土地」や「建物の構造」は変更できません。しかし、「設備」や「間取り」はリノベーション・リフォームである程度なら変えられます。
予算の関係上、どうしても設備や間取りまでお金を出せないのであれば、家ができたあとに施行してもいいでしょう。
ただし、あとで工事すると費用が高くなること、希望する工事がすべてできるわけではないことには注意しなければいけません。どのような工事があとでもおこなえるのか建築会社に聞き、完成後に施行できるものを覚えておくことが大切です。
まとめ
近年、災害の被害が大きくなっており、災害に強い家づくりの重要性が高まっています。
災害に強い家をつくるには、被災時でも生活できる設備の導入や、被害を受けにくい土地の選択、構造・間取りにすることなどが大切です。
災害に強い家の条件を理解していれば、どの土地を購入するのか、どのような建物を建築するのか決めやすくなります。もし自分だけで決められないのであれば、信頼できるハウスメーカー・工務店の担当者にアドバイスを受けるといいでしょう。
プロのアドバイスを聞きつつ建物を建てれば、災害に強い家での生活が実現します。