住宅ローンの審査基準と落とされる理由は?対策は?
不動産を購入したけど「住宅ローンの審査に通るか不安」と思っている人も多いのではないでしょうか。どのような項目を審査されているのかわからないと、通過するのかわからず悩んでしまいますよね。
住宅ローンでは一定の項目が審査され、項目ごとに通過するための対策があります。項目と対策を理解すれば、住宅ローンに通る可能性が高くなるでしょう。
本記事では、住宅ローンの審査基準や落とされる理由について解説します。記事の後半では、住宅ローン審査に通過するための対策を紹介しますので、審査に通るか不安な人はぜひ参考にしてください。
住宅ローン審査では、次のように多くの項目を調査されます。
審査項目 | 審査項目としている金融機関の割合 |
1.完済時の年齢 | 98.7% |
2.健康状態 | 97.9% |
3.借入時の年齢 | 97.9% |
4.勤続年数 | 93.2% |
5.連帯保証 | 93.1% |
6.国籍 | 73.3% |
7.雇用形態 | 71.6% |
8.業種 | 34.4% |
9.雇用先の規模 | 25.4% |
10.家族構成 | 29.8% |
11.性別 | 21.2% |
上記の割合は、国土交通省が公表した「令和4年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」による割合です。
割合をみると、金融機関によって審査される項目が異なるのがわかります。ただ、1.~7.の項目は、ほとんどの金融機関が調査しています。住宅ローン審査に通過したいなら、1.~7.を重視して対策するといいでしょう。
住宅ローン審査に落とされる理由
住宅ローン審査に落とされる主な理由は、次のとおりです。
- 完済年齢が金融機関の基準を上回っている
- 審査の直前に手術をおこなった
- 金融機関が指定する病気を患っている
- 審査に申し込みしたときの年齢が高い
- 勤続年数が1年未満で申し込みした
- 収入に見合っていない借入金額で申し込みした
- 他社からの借入金額が多い
- 滞納や債務整理の経験がある
- 収入が不安定な雇用形態である など
上記の理由はあくまで一例であり、まだまだ落ちる例は多くあります。これだけ多くの落ちる例があるのをみれば、いかに対策してから申し込みするのが重要かわかります。
住宅ローン審査に通過するための対策7選
住宅ローン審査に通過するための主な対策7選は、次のとおりです。
- 完済年齢を調整する
- 健康状態に不安があるならワイド団信を利用する
- なるべく早く住宅ローンに申し込みする
- 勤続年数が短いときは1年以上になってから申し込みする
- 既存の借入は返済しておく
- ブラックリストが消えるまで待つ
- 返済比率を25%以下にする
対策の内容を理解し、審査に引っ掛かりそうな状態を改善しましょう。
完済年齢を調整する
完済年齢は多くの金融機関が調査するため、調整してから申し込みましょう。
金融機関の多くは、80歳の誕生日を迎えるまでに住宅ローンを返済しなければならないとしています。借入年数が完済年齢を超えていると、そもそも審査してくれません。
また、金融機関が決めた完済年齢以下だったとしても、ギリギリに設定するほど審査に通りにくくなります。できる限り若い年齢で完済できるよう、借入年数を調整することが大切です。
借入期間を短くすると月々の返済金額が上がるため、楽に返済できるかどうか調べてから返済期間を決めましょう。
健康状態に不安があるならワイド団信を利用する
一定の病気を患っていたり、手術から一定の期間を経過していなかったりすると団信に入れず、住宅ローンの審査に落ちてしまいます。
団信とは、団体信用生命保険の略称であり、借入者が死亡・重度障害になったときに住宅ローンの残額をゼロにできる保険です。
住宅ローン申し込み日の3年以内に、うつ病やがんの手術をおこなっていると団信に加入できない可能があります。
健康状態に不安があるなら「ワイド団信」を利用しましょう。ワイド団信は、通常の団信に比べ審査が甘く、ある程度の健康状態でも加入できます。ただし、ワイド団信を利用すると住宅ローンの金利が上がるのには注意しなければなりません。たとえば、りそな銀行のワイド団信を利用すると、借入する商品の店頭表示金利+年0.3%されます。
なるべく早く住宅ローンに申し込みする
借入者の申し込み時の年齢は、住宅ローン審査に大きな影響を与えるためなるべく早く申し込みしましょう。
借入者の年齢が高くなるほど、定年まで年数が少なくなったり病気になりやすくなったりします。金融機関にとって年齢が高くなると、融資するリスクが高くなるわけです。
申し込み年齢で審査に落とされないようにするには、なるべく早く住宅ローンに申し込みするといいでしょう。
勤続年数が短いときは1年以上になってから申し込みする
勤続年数の長さは、住宅ローンの審査に影響します。
金融機関によって勤続年数の長さの基準は異なるものの、多くは1年以上かどうかを調査します。勤続年数が1年未満の場合は、1年以上になった時点で申し込みするのがコツです。
1年未満の状態でも不動産を購入したいと考えているなら、フラット35の利用を検討しましょう。フラット35には勤続年数の縛りがなく、属性のいい人であれば勤続年数が短くても審査に通るケースもあります。なお、属性とは申込者の性質であり、年収が多い、借入がないなどの人は属性がいいと判断されます。
既存の借入は返済しておく
住宅ローン審査には、既存の借入の数と金額が影響します。
たとえば、車のローンやカードローン、教育ローンなどです。既存の借入が多いほど住宅ローンの返済が厳しくなり、金融機関にとって融資するリスクが高まります。そのため、既存の借入があると、金融機関は審査を厳しくします。
住宅ローンの申し込み時に既存の借入を全額返済できるなら、返済してから審査に入りましょう。
ブラックリストが消えるまで待つ
ブラックリストに掲載されていると、審査には通らないため消えるまで待ちましょう。
ブラックリストとは、個人信用情報のことです。個人信用情報には、個人のクレジットやローンなどの情報が掲載されます。たとえば、クレジットカードの上限額、車のローンの借入額、借入の返済状況などです。
情報の中に延滞や債務整理の情報が記載されていると、ブラックリストに載った、掲載されたと呼ばれます。ブラックリストに載った情報は、掲載された日から5年~10年は残ってしまいます。情報が残っている期間中は、住宅ローンの審査に通らなくなるため消えるまで待つしかありません。
返済比率を25%以下にする
返済比率とは、年収に占める年間の借入返済額の割合です。
返済比率は、次の計算式で計算できます。
年間の借入返済額 ÷ 年収 × 100 = 返済比率 |
次の条件で、返済比率のシミュレーション計算してみましょう。
- 住宅ローンの年間返済額:100万円
- 車のローンの年間返済額:20万円
- 年収500万円
この場合の計算式は、次のとおりです。
(100万円 + 20万円)÷ 500万円 × 100 = 24%(返済比率) |
上記の場合は、返済比率が25%以内に収まっています。返済比率が低くなるほど生活に余裕が出てくるとされており、一般的に住宅ローン審査に通るには返済比率25%以下が目安になります。
住宅ローンの借入希望額が多い場合は、まず返済比率が25%以内に収まっているか計算してから申し込みしましょう。
住宅ローン審査の流れ
住宅ローン審査は、次のような流れで進めます。
1.事前審査 | ・本審査のための仮審査 ・主に年収や年齢などの数字を審査する ・3日~7日程度で結果が出る |
2.本審査 | ・仮審査の項目に加え健康状態や物件調査などがおこなわれる ・7日~30日程度で結果が出る |
3.契約 | ・本審査に通過した後に金銭消費貸借契約を締結する ・契約締結後、2日~7日程度で融資される |
住宅ローンを借りるまでには「事前審査」と「本審査」と、2回の審査に通過する必要があります。
審査項目だけではなく、書類に不備があっても住宅ローンに落ちる可能性があるため準備を怠ってはいけません。
なお、事前審査から契約、融資までの期間は、短くても1ヶ月程度かかります。不動産をすぐ購入したいなら、スケジュール管理しながら早めに書類の準備や対策して進めていきましょう。
住宅ローン減税の手続き方法
住宅ローン減税の手続き方法は、1年目と2年目以降で異なります。
ここからは、1年目と2年目以降の手続き方法を解説します。
1年目の手続き方法
住宅ローン減税の1年目は、確定申告で手続きしなければなりません。
確定申告は不動産を購入・建築した年の翌年2月16日~3月15日におこないます。
確定申告で必要な書類は、次のとおりです。
- 確定申告書
- (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 住宅ローンの借入残高証明書
- 勤務先の源泉徴収票
- 土地建物の登記簿謄本
- 本人確認書類
確定申告書や計算明細書を作成するには、多くの項目を計算しなければなりません。もし自身で進めるのが難しいと感じるなら、不動産会社や税理士のアドバイスを聞きつつ作成しましょう。
2年目以降の手続き方法
2年目以降の住宅ローン減税の手続きは、会社が年末調整時に行ってくれます。
1年目の確定申告後に税務署から送られてきた書類と、銀行から届いた残高証明書を会社に提出します。
なお、個人事業主やフリーランスのような給与所得者以外の人は、2年目以降も確定申告で住宅ローン減税の手続きをしなければなりません。
まとめ
住宅ローン審査は、次のような流れで進めます。
1.事前審査 | ・本審査のための仮審査 ・主に年収や年齢などの数字を審査する ・3日~7日程度で結果が出る |
2.本審査 | ・仮審査の項目に加え健康状態や物件調査などがおこなわれる ・7日~30日程度で結果が出る |
3.契約 | ・本審査に通過した後に金銭消費貸借契約を締結する ・契約締結後、2日~7日程度で融資される |
住宅ローンを借りるまでには「事前審査」と「本審査」と、2回の審査に通過する必要があります。
審査項目だけではなく、書類に不備があっても住宅ローンに落ちる可能性があるため準備を怠ってはいけません。
なお、事前審査から契約、融資までの期間は、短くても1ヶ月程度かかります。不動産をすぐ購入したいなら、スケジュール管理しながら早めに書類の準備や対策して進めていきましょう。