持続可能な住宅やエネルギー効率の高い住宅を購入するためのローンや補助金
「持続可能な住宅やエネルギー効率の高い住宅ってどのような家なの?」「省エネ住宅を購入するときに使えるローンや補助金はないの?」というように、高性能住宅の購入について悩みをもっている人は多いことでしょう。
持続可能な住宅はサステナブル住宅、エネルギー効率の高い住宅は省エネ住宅と呼ばれます。これらの住宅は高性能住宅であり購入価格が高く、ローンや補助金を駆使して費用を抑えることが大切です。
本記事ではサステナブル住宅、省エネ住宅の購入時のローンや補助金について解説します。高性能住宅の購入を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
そもそも持続可能な住宅やエネルギー効率の高い住宅とは
持続可能な住宅はサステナブル住宅といい、エネルギー効率の高い住宅は省エネ住宅といいます。
また、サステナブル住宅は「人だけでなく地球にも優しい住宅」とも呼べるため、省エネ住宅の一種と考えられます。つまり、持続可能な住宅もエネルギー効率の高い住宅も省エネ住宅ということです。
省エネ住宅の必要性は年々高まっており、省エネ住宅の基準が標準仕様になりつつあります。しかし、省エネ住宅の基準になるほど、住宅の価格は上がってしまうというデメリットもあります。
省エネ住宅に対する政府や金融機関の取り組み
省エネ住宅に対しては2050年のカーボンニュートラルの実現を目指し、目標を達成するためにさまざまな取り組みがなされています。
2022年10月からは断熱等級6・7が創設され、ZEH水準以上の断熱性の高さの基準が設定されました。断熱性が高いほどエネルギー効率がよくなり、冷暖房効率も上がります。結果、電気消費量や二酸化炭素の排出を抑えることができるわけです。
また、金融機関も省エネ住宅に対して、住宅ローンの金利を優遇するなどの取り組みをおこなっているところもあります。
このように政府も金融機関も省エネ住宅の建築を推進するような動きをしており、今後は高性能住宅がさらに増えていくことでしょう。
省エネ住宅購入時のローンで知っておくべきこと
省エネ住宅購入時のローンで知っておくべきことは、次のとおりです。
- 住宅ローン控除の控除額に違いがある
- 変動金利で利息を抑える
- フラット35の金利優遇が受けられる
省エネ住宅購入時のローンについて理解しておけば、月々の返済が楽になったりするため、各項目の内容を理解しておくようにしましょう。
住宅ローン控除の控除額に違いがある
省エネ住宅の種類によって、受けられる住宅ローン控除の借入限度額に違いがでます。
住宅ローン控除の主な内容は、次の表のとおりです。
住宅新旧等 | 住宅環境性能等 | 借入限度額 | 控除期間 | 控除割合 |
令和6・7年入居 | ||||
新築住宅 買取再販 |
認定長期優良住宅 認定低炭素住宅 |
4,500万円 | 13年間 | 0.7% |
ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 13年間 | ||
省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 | 13年間 | ||
その他住宅 | 2,000万円 | 10年間 | ||
既存住宅 | 認定長期優良住宅 認定低炭素住宅 ZEH水準省エネ住宅 省エネ基準適合住宅 |
3,000万円 | 10年間 | |
その他住宅 | 2,000万円 | 10年間 |
※既存住宅の建築確認取得日や築年数によっては住宅ローン控除を利用できません。
※子育て世帯・若者夫婦世帯は借入限度額が上がります。
新築の認定長期優良住宅・認定低炭素住宅と省エネ基準住宅とでは、借入限度額の差が1,500万円となり、1,500万円の差がつくと10万5,000円の所得税控除の差がつきます。住宅の性能によって、所得税の節税額が大きく異なることには注意しなければなりません。
なお、子育て世帯・若者夫婦世帯とは、次のような世帯を指します。
- 子育て世帯:19歳未満の扶養親族がいる世帯
- 若者夫婦世帯:夫婦のいずれかが40歳未満の世帯
子育て世帯や若者夫婦世帯には明確な条件があり、1歳でも条件から外れていると適用されなくなります。
変動金利で利息を抑える
省エネ住宅を住宅ローンで購入する場合は、変動金利を検討しましょう。
変動金利はかなり低く設定されており、auじぶん銀行のように金利が低い金融機関だと年0.319%(全期間引下げプラン・2024年3月現在)で借りることも可能です。
金利が低ければ総返済額が減り、月々の返済も減るため、生活が楽になります。
ただし、変動金利には金利変動リスクがともなうこともあり、金利が上昇傾向にあるなら固定金利を選択したほうがいいケースもあります。金利上昇リスクが心配な人は、金融機関に相談しながら金利を決めていきましょう。
フラット35の金利優遇が受けられる
固定金利を利用したい場合は、フラット35の優遇金利が適用されないかどうか確認しましょう。
フラット35には省エネ住宅に対する金利優遇をしてくれる「フラット35s」という商品があります。
フラット35sではZEH水準の住宅建築・購入をすると、借入開始から5年間については金利が0.75%引き下げられます(2024年3月現在)。
当初5年間金利が0.75%優遇される効果は大きく、次の表のような違いがでます。
※【試算例】借入額3,000万円(融資率9割以下)、借入期間35年、元利均等返済、ボーナス返済なし、借入金利年1.80%の場合
【フラット35】 | 【フラット35】(ZEH) | |
借入金利 | 全期間 年1.80% | ・当初5年間 年1.05% ・6年目以降 年1.80% |
毎月の返済額 | 全期間 96,327円 | ・当初5年間 85,386円 ・6年目以降 94,811円 |
総返済額 | 40,457,296円 | 39,255,206円 |
【フラット35】 との比較 (総返済額) |
– | ▲1,202,090円 |
このように借入額が3,000万円だとしても、総返済額の差が100万円以上変わってきます。金利は当初5年だけ優遇だとしても、総返済額への影響は大きいと考えておきましょう。
省エネ住宅購入時に検討すべき補助
省エネ住宅購入時に検討すべき補助は、次のとおりです。
- 子育てエコホーム支援事業
- ZEH支援事業
- 各自治体が実施している補助制度
省エネ住宅の購入・建築をすると補助金が交付されるケースがあるため、どのような補助金があるのか理解し、補助をしてもらえるか確認してみましょう。
子育てエコホーム支援事業
子育てエコホーム支援事業とは、子育て世帯や若者夫婦世帯の省エネ住宅を支援する事業です。
子育て世帯や若者夫婦世帯が長期優良住宅を建築・購入した場合は1戸あたり最大100万円、ZEH水準の住宅を建築・購入した場合は1戸あたり最大80万円の補助が受けられます。
ただし、子育てエコホーム支援事業の補助を受けるには、子育てエコホーム支援事業に登録している事業者から対象の住宅を建築・購入する必要があります。
詳しくは、国土交通省「子育てエコホーム支援事業」を参照ください。
ZEH支援事業
ZEH支援事業とは、ZEH水準の住宅購入や建築を支援する事業です。
ZEHは省エネ性能によってZEH、ZEH+などと名称が異なります。ZEH支援事業では各ZEH性能によって、受けられる補助金額が次のように変わります。
- ZEH:1戸あたり55万円
- ZEH+:1戸あたり100万円
詳しくは、一般社団法人 環境創造イニシアチブ「経済産業省及び環境省による戸建ZEH補助事業」を参照ください。
各自治体が実施している補助制度
各自治体は独自の補助制度を設けているケースがあるため、住まいを管轄する自治体が補助してくれるか確認しましょう。
たとえば、東京都であれば「東京ゼロエミ住宅の助成制度」を実施しています。
東京ゼロエミ住宅の助成制度では、一定条件を満たして都内で新築一戸建てを建築・購入した場合、1戸あたり30万円の補助が受けられます。
東京ゼロエミ住宅の助成制度は、次の補助制度と併用が可能です。
- 子育てエコホーム支援事業
- 地域型住宅グリーン化事業
- こどもエコすまい支援事業
- 子育て支援型共同住宅推進事業 など
ただし、次の補助制度とは併用できません。
- 戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)化支援事業
- 次世代ZEH+実証事業
- 集合住宅のCO2化促進事業(ZEH-M)
- LCCM住宅整備推進事業 など
上記のように併用できる制度とできない制度があるため、どの制度を併用するのか検討して補助額が最大になるように計画していきましょう。
詳しくは、東京都環境局「助成制度」を参照ください。
まとめ
2024年現在、政府がサステナブル住宅や省エネ住宅の建築が進んでいますが、高性能住宅は建築・購入費用が高く金銭的な対策が必須です。
ローンについては省エネ住宅の種類によって控除額の上限が違うこと、省エネ住宅ならフラット35の優遇金利が利用できる可能性があることを知っておきましょう。また、建築・購入する建物によっては補助が受けられるケースもあります。
高性能住宅は光熱費が抑えられるものの建築・購入費用が高いため、節約方法を理解して少しでも支払いを抑えていくようにしましょう。