どうせこだわるなら屋根の形にもこだわりたい!戸建て住宅の屋根の形状各種類とメリット・デメリット!
屋根の形状の基本と特徴
・陸屋根
陸屋根は平坦で傾斜がないことから、メンテナンスのしやすさが優れています。モダンなデザインの住宅に採用される傾向で、デザイナーズ住宅にも見られます。防水や雪の対策が必要になること、夏場の温度上昇のしやすさがデメリットです。
・入り母屋
入り母屋は、和風の家に多く見られる通気性に優れた屋根です。日本瓦と調和することから、日本的なデザインの住宅に向いています。形状的に複雑で、高めのメンテナンス費用と雨漏りのリスクがあります。
・差し掛け屋根
段違いの形状をしていて保温性が良く風に強いですが、採光性も高いのが特徴です。雨漏りのリスクと和要素の薄さはデメリットといえます。
・切妻
三角屋根で知られる切妻は、屋根裏のスペースを確保できる実用性があります。ソーラーパネルが設置しやすいので、太陽光発電を採用する家と相性が良いです。デメリットは、個性が薄くて差別化しにくいことです。
・寄棟
寄棟は、2面ではなく4面で構成される特徴的な形状を備えます。すべての方向に傾斜を設けるので、風に対して耐性があります。棟も4面あって外壁を保護する効果を発揮します。屋根裏のスペースが取りにくいのは気になるところです。
・片流れ
片流れは1方向に傾斜角度が付く形状で、現代的な印象を与えます。ソーラーパネルと相性が良いことから、近年採用する戸建て住宅が増えている傾向です。屋根裏のスペースを確保できる代わりに日照時間は短くなりがちです。
・方形屋根
方形屋根は、正方形の戸建て住宅に採用される四角錐の屋根です。雪の負担を分散できて、雨水も早く流れ落ちるのがメリットです。バランスの良い形状ですが住宅の形状を選びます。
・半切妻(ドイツ屋根方形屋根)
外観に特徴がある形状です。建築基準法に合致させるために採用されることが多いですが、形状にアクセントを付けたい場合にも選ばれます。室内の面積を変えることなくアクセントを加えますが、棟の多さが雨漏りのリスクを高めます。
・越屋根
越屋根は大小の切妻を2段重ねした形状で個性的ですが、その分コストがかかります。通気性と保温性のどちらも優れており、採光性も確保できるメリットがあります。
・バタフライ型
中央が低くて両端が高い形状をしている屋根です。一般的な屋根とは逆の個性的な形状で、洗練された印象があります。ソーラーパネルは問題なく設置できますが、積雪に耐えられる強度の確保が必要です。
・しころ屋根
寺院に採用されている形状ですが、厳かすぎる印象で戸建て住宅には不向きです。のこぎり屋根も、住宅より工場に広く採用されています。
デザイン性と機能性を兼ね備えた屋根の提案
屋根のラインは、デザイン性を重視する場合は平面に近い形状、機能性を重視する場合は傾斜の付いた形状を検討することになるでしょう。
陸屋根はデザイン性はトップクラスですが、ソーラーパネルの設置にはやや不向きで、エネルギー効率的には保温性の低さが目立ちます。しかし維持管理のしやすさなら、楽に掃除や点検ができる陸屋根です。機能性は多少犠牲になりますが、維持管理の点もトップクラスです。デザイン性に妥協せずに済むので、モダンなデザインと維持管理のしやすさを求める場合に適しています。
デザイン性と機能性のバランスが良いのは、寄棟や方形などの形状です。窓の配置と関連性が高い形状で、採光性を確保しやすいのがポイントです。一定以上の採光性を確保できるので、デザイン性と機能性で選ぶことができます。寄棟は長方形の住宅に、方形屋根は正方形の住宅に選べます。
エネルギー効率重視でソーラーパネルの設置を考えるなら、差し掛け屋根が条件に合うでしょう。形状から機能性が高く、デザイン性は色分けで高めることが可能です。通気性と保温性のどちらも良好で、採光性を犠牲にせずに強い風にも備えられます。形状的にソーラーパネルが設置しやすいので、無理なくエネルギー効率を高められます。
切妻は実用性重視の形状で、個性が弱いことからデザイン性を高めるのに工夫が必要です。工夫できる余地はありますし、工夫の選択肢が広いことから自分好みにできます。
片流れはデザイン性と個性重視で、機能性は二の次の形状です。採光性とソーラーパネルの設置しやすさは優れるので、後は通気性や保温性をどうするかとなります。
デザイン性だけでなく、機能性だけでもないアーキテクチャルデザインの屋根は、戸建て住宅に提案したい屋根です。両方を兼ね備える屋根の住宅は満足度が高く、安心して長く暮らすことができます。建築的なアプローチで設計された屋根は、デザイン性を捨てずに機能性が高められています。個性を求めることができるので、総合的に満足できる屋根が手に入ります。アーキテクチャルデザイン設計の屋根は、建築設計の専門家が機能性を確保しながらデザインを洗練されているので、現代の住宅に調和します。2つの要素が高いレベルに引き上げられていて意匠性が高く、完成された印象を与えます。
予算とライフスタイルに合った最適な選択
屋根は戸建て住宅の印象を決定付ける要素ですが、予算とライフスタイルに合った選択をすることが大切です。耐久性が高い屋根は、イニシャルコストが高くても、長期的にはランニングコストが抑えられます。スレートは多くの形状の屋根と相性が良く、地震に強いことから広く採用されています。
耐久性という意味では、伝統的な形状の屋根に和瓦や洋瓦を組み合わせたものが優れます。粘土瓦は特に、メンテナンス次第で半世紀~1世紀持つほどの長寿命です。切妻は、維持コストが少なく済みコスト効率が優れている形状の屋根です。
屋根材を選ばないので、耐久性の高い組み合わせをすると長持ちします。差し掛けもコストが優れている形状で、こちらも自由に屋根材を選ぶことができます。
屋根の選択は、保険との関連性も考えて検討するのがよいでしょう。耐久性に優れメンテナンスのコスト効率が良い屋根は、保険料の負担が少なく済む傾向です。災害大国の日本では屋根が破損する様々なリスクがありますが、壊れにくい屋根を選べば保険料が安くなります。屋根の補修や修理代は馬鹿にならないので、なるべく被害を最小限に抑えられる形状を選びたいものです。加入する保険を選ぶ場合は、屋根の破損と修理も対象に含まれるか、どこまでカバーされるか詳しく確認しましょう。
屋根はシンプルな形状ほどコストが抑えられますが、シンプルだから災害被害を受けにくいわけでもないです。台風が頻発する地域では、風の影響を受けにくい三角形状が適しています。降雪地域では負担を分散できる方形屋根が向いており、ガルバリウム鋼板の屋根材と組み合わせると更に耐久性が高まります。このように地域性を含めて、保険との関連性を考えながら最適な選択することが大切です。
エコフレンドリーな屋根は、環境に優しく持続可能性が優れています。エコフレンドリーという観点で考えるなら、リサイクルできる素材を考慮するべきです。粘土瓦は砕いて道路など他の用途に再利用できるので、エコフレンドリーな素材だといえます。相性の良い形状の入り母屋は、通気性・保温性・耐風性のどこを取っても平均以上です。瓦を使用すると初期コストはかかりますが、長期的にはコストと環境負荷が抑えられます。高品質な瓦は単価が高いので、予算との兼ね合いが重要になります。
ライフスタイルの適合性も、屋根選びで検討する必要のあるポイントです。
あまりメンテナンスに手をかけられないなら、維持管理の手間がかからない屋根を選ぶのが正解です。
将来的に家族が増える予定があるなら、窓を設置しやすい採光性の優れる屋根がよいでしょう。
まとめ
戸建て住宅は屋根の形状を選べるのが魅力ですが、メリット・デメリットで絞り込み、総合的な選択をする必要があります。
デザイン性と機能性を考えて検討することで、総合的に満足度の高い屋根を選ぶことができます。屋根は大きく分けると12種類もあるので、1つに絞り込んで選ぶとなると悩みます。似ている形状のものも存在しますが、違いが分からず選ぶのが難しい場合は、専門家への相談をおすすめします。検討や選択のポイントになるのは、デザインと機能の調和や予算とライフスタイルです。デザインだけでも機能だけでもなく、建物全体との調和と、ライフスタイルに合うかが重要です。
予算的に無理がなく、維持管理も無理なくできることが大切です。エコフレンドリーの意味では、長期的な視点での選択も重要になってきます。住まいの快適性や満足度にもかかわりますから、屋根選びは簡単には決まらないものです。最初から1つに決めようとせず、段階的に絞り込めば悩まずに済むでしょう。焦って決めるのではなく、デザイン性と機能性、採光性など様々な角度の観点で検討を進めるのがおすすめです。予算の上限を設定して何を優先するかを決めれば、専門家への相談で選ぶべき屋根を見付けることができるはずです。