災害を意識した家づくりの重要性！災害別に見る防災家づくりの心得

自然災害との向き合い方

自然災害には主に、地震・台風・洪水・豪雨、そして火災があります。自然災害の発生が避けられない以上は、自然災害とどのように向き合うかが重要になってきます。向き合い方というのは、家づくりや防災対策、日常生活における防災意識とも言い換えられます。大切なのは災害を身近な存在と認め、どう向き合うか考えることにあります。

地震対策は、災害発生時の被害を最小限に食い止め、速やかに避難できるように備えるのが基本です。具体的には家具の転倒や落下を防ぐ対策と、非常用品の備え、それから避難場所の確認と経路の把握です。家づくりにおいては、地震に強い構造にしておくと安心です。自治体が提供する防災マップを確認して、危険性が高い場所を把握したり、避難経路から外すのもポイントです。

台風対策は強風や暴風雨の被害を抑え、水漏れや浸水被害を食い止める、住宅の対策が中心になります。風による被害が発生するので、風で窓ガラスが割れたり、割れたガラスで怪我をしない対策をする必要があります。雨戸がある場合は早めに閉めること、雨戸がなければ飛散防止にテープを貼ったり、板を打ち付けるなどの対策が必要です。日頃から防災意識を持ち、情報を集める癖を付けるのも大切なことです。

洪水対策は、台風対策と共通する部分もありますが、避難を前提とした対策が重要になります。不用意に河川に近付かないこと、避難が必要なときにいつでも家を出られるように備えることが大切です。地盤を高くしたり高床構造を採用するなど、家づくりでできる工夫もあります。2階部分を避難場所に設定して、居住空間にするのも工夫の1つです。

豪雨対策は雨戸や網戸が外れないように固定すること、屋外にある物をいつでも屋内に入れられるように備えるのがポイントです。豪雨が発生すると外に出るのが困難になるので、当面外出せずに済むように、水や食料を確保しておくのがよいでしょう。雨の影響で停電が発生することも想定されますが、スマホやノートPC、モバイルバッテリーの充電を心がけることも対策になります。家をつくるときに割れにくい窓ガラスを選ぶか、ガラス用の飛散防止フィルムを貼っておくと安心です。

火災対策は、火の取り扱いに注意することが基本となります。火災の発生原因はたばこ・焚き火、コンロの順ですから、寝たばこに注意することで発生リスクが軽減できます。焚き火は風の影響や火の不始末に気を付けること、コンロは使うときに目を離さないのが有効です。燃えやすい物を火の近くに置かないことに加え、火が燃え広がりにくい家づくりをすると効果的な火災対策になります。

家の構造と防災対策

家づくりにおける災害対策では、耐震設計と防火設備、防水対策などがポイントになります。耐震設計とは、家の構造を地震の揺れに耐えられるつくりにすることです。想定される地震に耐えられる家は、人命と家財が守れます。耐震設計がしっかりしていれば安心して暮らすことができます。

防火設備とは火災報知器や防火戸、住宅用スプリンクラーなどです。火災の発生に早く気が付き、避難する時間を稼ぐための設備です。家づくりに防火設備を加えることで、効果的な火災対策が実現します。煙が拡がり充満するのを防ぐ設備も、導入を検討したい防火設備です。

防水対策には、ひさしや雨樋などの設備と、土のうや簡易的な防水シートの使用があります。家の構造でできる防水対策は、建築設計段階での外壁用・床下用の防水シートの採用が挙げられます。雨水は天井も侵入経路になるので、天井の対策も必要です。水や湿気の侵入を防ぐ、コーティングも検討する必要があるでしょう。

家の構造を考える場合は、耐候性材料の選定も重要なポイントになるでしょう。耐候性という言葉は、太陽の紫外線や熱だけでなく、雨水や湿気も対象に含みます。特に家の外側に位置する外壁や屋根は、この耐候性材料の重要性が大きくなる部分です。耐用年数とコストを含めて、比較検討を行い選定することをおすすめします。

避難経路と安全な空間の確保も、防災の避けて通れない対策です。家は家族と家財を守る城ですが、発生する災害の種類と規模によっては避難が必要になります。避難経路の確保は防災対策の基本で、家づくりと組み合わせることで防災効果を発揮します。発生する可能性の高い災害を把握することと、種類に合わせた避難場所、経路の把握と確認が重要です。

安全な空間の確保とは、地震などのすぐに避難が必要な災害の備えを意味します。寝室には背の高い家具を置かない、家具は固定することで安全な空間が確保できます。家電も同様に、転倒を想定して固定することが、安全な空間の確保に繋がります。固定しても大きな地震では転倒の恐れがあるので、倒れても比較的安全な向きを考えて設置することが大切です。家の中に一時的な避難場所を作り、防災グッズを持っていつでも外に避難できるように備えるのもポイントです。地震が発生してすぐに避難できるとは限りませんから、一時的でも避難可能な場所が家にあると安心です。避難経路と安全な空間を確保することは、家族の安全のために不可欠です。

日常生活に取り入れる防災意識

日常生活には防災意識を取り入れ、意識的に対策することが必要です。備蓄と非常食は、家族の人数分を1週間分用意するのが理想です。最低でも3日は外出しなくても飲食ができるように、水と食料を確保しておくべきです。確保するのは水の他に、エネルギー元の主食とたんぱく質を中心とした食料をおすすめします。災害発生時にはライフラインの停止が想定されるので、火を使わなくても食べられる物が望ましいといえます。

災害情報の確認は、スマホと通信が有効な間はネットが使えますが、ネットが不通になると情報源が限られます。原始的ではありますが、ラジオは災害発生時の貴重な情報源になる可能性が高まります。スマホやネットばかりに頼るのではなく、他の情報源も使えるようにしておく必要があるでしょう。

防災グッズの整備は、水や食料などの備蓄と非常食とは別にすることが必要です。秋冬に火が使えないと凍える恐れがありますから、お湯を沸かすためのカセットコンロなどの熱源と、毛布といった保温できる物も用意しましょう。情報源を確保するために、携帯用のラジオと乾電池や充電池も防災グッズに含めます。手回しで電池不要のラジオなら、電池の在庫がなくなってしまっても使えます。

停電すると明かりの確保が必要になるので、懐中電灯もあると安心です。電池切れを考えて、ロウソクとライターも入れておくのがよいです。他にも、汚れた物を入れておく袋や怪我をしたときのための絆創膏、常備薬も入れておきましょう。防災グッズは必要な物が多くありますが、初めての用意で悩む場合は、セットになっている防災グッズもおすすめです。家族分を購入してそれぞれ身近な場所に置いておけば、災害時に持ち出して避難することができます。

避難訓練と定期的な確認も、安全確保と防災意識の再認識に必要なことです。避難訓練は避難経路の確認も兼ねています。災害が発生した場合を想定して、本番時に意識を切り替えて冷静に対応することを目的とします。訓練と実際は同じではありませんが、避難訓練をしておくことで冷静に対応できる可能性が高まります。定期的な確認は、備蓄と非常食や防災グッズの整備を含めて行うようにしましょう。

日常生活でできる対策は複数ありますが、最後は家族とのコミュニケーションが重要です。家族と意識的な連絡を心がけ、何かあった場合にすぐ対処できるようにしておくのが理想的です。複数の連絡手段を用意して、災害が発生したらどこで何をするか、情報共有の取り決めしておくのもよいでしょう。

まとめ