こんなはずじゃなかった!「新築戸建て住宅が寒いです!」対策方法おしえて。
「新築戸建て住宅なのに冬の室内が寒い!」という悩みをもっている人も多いかと思います。なぜ新築戸建て住宅なのに寒いのか疑問かもしれませんが、実は新築イコール暖かいということはなく、築年数に関係なく断熱性が高いかどうかで、室内が寒いか暖かいのかが変わります。
つまり、新築戸建て住宅の室内が寒いのか暖かいのか判断するには、建物の断熱性の高さを調査すればよいのです。
本記事では、新築戸建て住宅が寒いと感じる理由、断熱性の高さを確認する方法、断熱性を高めるためのリフォームについて解説します。
新築戸建て住宅が寒いと感じる4つの理由
新築戸建て住宅でも寒いと感じるのには理由があります。寒いと感じる主な理由は、次の4つです。
- 窓とサッシの断熱性が低い
- 木造在来工法であるため寒い
- 断熱材の品質が低い
- 24時間換気システムのせいで寒い
なぜ、上記の4項目が戸建て住宅の寒さに影響するのかみていきましょう。
窓とサッシの断熱性が低い
窓とサッシの断熱性が低い場合、室内が寒くなりやすく、なかなか温まりません。
壁や柱、屋根は分厚い建築素材であり、壁と外壁の間には断熱材が装填されているため、熱が外に逃げていく量はかなり少なくなっています。しかし、窓とサッシは外界との境の中で一番薄い場所であるため、熱がすぐに外へ出て行ってしまいます。
木造在来工法であるため寒い
新築戸建て住宅が木造在来工法で建築されている場合、室内が寒くなる傾向にあります。
木造在来工法とは、木材を組み合わせた骨組みで建築する方法です。木材在来工法で建築された戸建て住宅は隙間ができるため、この隙間から外気が侵入してきます。そのため、木材在来工法で建築された戸建て住宅は、鉄骨造や鉄筋コンクリート造よりも室内が寒くなりやすくなるわけです。
ただし、隙間があることで結露しにくくなること、夏はほかの構造よりも涼しくなることなどメリットも多く、近年の木造在来工法は技術進歩で断熱性が向上していることを理解しておく必要もあります。
断熱材の品質が低い
戸建て住宅に利用されている断熱材の品質が低い場合、室内が寒くなってしまいます。
断熱材には品質があり、品質が低いものを使っている場合、新築戸建て住宅でも室内が寒くなってしまいます。断熱材としてよく使われるのは「グラスウール」ですが、グラスウールでも品質や厚さの違いがあるため、どのようなものが使われているのか確認しなければなりません。
24時間換気システムのせいで寒い
24時間換気システムの種類によっては、室内が寒くなる要因の1つになります。
シックハウス症候群を防止するため、2003年から新築する戸建て住宅には24時間換気システムも設置が義務付けられました。24時間換気システムは、1時間あたりで室内の空気を半分に変えられるものでなければなりません。つまり、24時間換気システムからは多量の空気が室内に入り込んでいるため、室内が寒くなってしまうということです。
暖かい新築戸建て住宅かどうか確認する方法
新築戸建て住宅でも室内が寒くなる理由を解説してきましたが、暖かい新築戸建て住宅なのかあらかじめ確認する方法もあります。
暖かい新築戸建て住宅か確認する方法は、次のとおりです。
- 断熱材の素材を確認する
- 窓ガラスとサッシを確認する
- 吹き抜けやリビング階段がないか確認する
新築戸建て住宅を建築・購入するときには、寒くなりにくいものかどうかをきちんと確認しておきましましょう。
断熱材の素材を確認する
断熱材は、次の表のように素材により熱伝導率が違います。熱電伝導率は数値が低いほど、断熱性が高くなります。
断熱材の名称 | 熱伝導率 | 工事費用目安 |
グラスウール | 0.050 | 安価 |
ロックウール | 0.038 | 安価 |
ビーズ法ポリスチレンフォーム | 0.043 | 普通 |
押出法ポリスチレンフォーム | 0.040 | 普通 |
硬質ウレタンフォーム | 0.024 | 高価 |
出典:国土交通省「表示・評価方法基準(省エネ)における検討方針」
上記のように断熱材として使用されている素材により、熱伝導率は大きく異なります。もっとも熱伝導率が低い硬質ウレタンフォームは、グラスウールの2倍の断熱性の高さです。ただし、工事費用が高いため、基本的にはグラスウールが断熱材として利用されています。
グラスウールは熱伝導率が高い素材であるものの、厚みをもたせて断熱性を高めることも可能です。もしグラスウールが使われているのであれば、どの程度の厚さなのか設計図を見て確認しましょう。
窓ガラスとサッシを確認する
新築戸建て住宅の室内を確認するときには、窓ガラスとサッシを確認しましょう。
窓は室内の熱が逃げやすい場所であるため、断熱性の高い窓ガラス・サッシになっているかにより、室内が寒くなりやすいかが変わってきます。
断熱性が高い窓ガラスはペアガラスであり、断熱性が高いサッシは樹脂サッシです。逆に断熱性が低いのは、単層ガラスやアルミサッシです。これらは窓ガラス・サッシを見ればすぐわかるため、内覧時、容易に確認できます。
吹き抜けやリビング階段がないか確認する
吹き抜けやリビング階段はおしゃれな見た目をしていますが、室内の寒さ対策という観点から見た場合は無いほうがよい設備です。
室内の温度よりも見た目にこだわる場合は別ですが、基本的に吹き抜けやリビング階段のない新築戸建て住宅を購入しましょう。
ただし、吹き抜けは日当たりのために設置されていることもあり、どうしても吹き抜けが必要なら天井にシーリングファンが設置されているか確認しましょう。
入居後に寒いと感じたときの対策方法
新築戸建て住宅を購入し入居した後、室内が寒いと感じたときには対策方法があります。
室内が寒いと感じたときには、次の対策方法を実施してみましょう。
- シーリングファンやシャッターを取り付ける
- 床暖房を設置する
- 窓に断熱シートを貼ったり厚手のカーテンを付けたりする
各対策方法がどのようなものなのか解説していきますので、室内が寒いと感じている人はぜひ参考にしてみてください。
シーリングファンやシャッターを取り付ける
室内が寒いと感じたときにはシーリングファンやシャッターを取り付け、室内の空気の循環と熱を逃げにくくするのを平行して行うとよいでしょう。
室内が寒い原因の多くは窓から熱が逃げていることであり、シャッターで少しでも熱を逃げにくくします。また、エアコンの暖房効率を上げるため、シーリングファンを設置して空気を循環させるのも1つの方法です。
シーリングファンは1万円~4万円程度、シャッターの後付けは手動のもので10万円~20万円程度かかります。
床暖房を設置する
室内が寒いときは、床暖房を設置するのが効果的です。
床暖房は直接、熱が人体に伝わるため、室内の気温が低くてもエアコンよりも暖かく感じます。また、エアコンのように寒い場所、暖かい場所ができにくいという性質ももっているためおすすめです。
床暖房の設置はどのような熱源を使うのか、リフォームはしやすいかなどにより異なるものの、一般的におおよそ1畳につき5万円~8万円程度かかります。
窓に断熱シートを貼ったり厚手のカーテンを付けたりする
室内の寒さを改善するのにお金を多く出せないという人は、窓に断熱シートを貼ったり、厚手(断熱)のカーテンを付けたりしましょう。
断熱シートとは、窓から熱が逃げにくくなる透明のシートです。ただ、断熱シートを貼るとやや視界が悪くなるなどのマイナス面もあります。断熱シートは1,000円~4,000円程度で売られています。
また、厚手のカーテンは室内と外気の気温差を和らげてくれるアイテムです。厚手のカーテンはリビングタイプのもので、6,000円程度から購入が可能です。
暖かい新築戸建て住宅になる設備
室内の寒さを改善すると快適な生活が送れることから、室内を温めるための設備が多く開発されています。近年は、断熱性が非常に高い設備や室内の温度低下を防ぐ設備もあるため、どのような設備があるのか理解しておくことも大切です。
断熱性を向上したり、室内の温度低下を防いだり設備は次のとおりです。
- トリプルガラス(サッシ)
- 全熱交換器
それでは、断熱性を向上させたり、温度低下を防いでくれたりする設備がどのようなものなのかみていきましょう。
トリプルガラス(サッシ)
トリプルガラスとは、窓のガラスが3枚になったものです。
ペアガラスよりも1枚ガラスが増えているということです。トリプルガラスはペアガラスよりもアルゴンガスなどが注入されている層が1つ多くなっているため、ペアガラスよりも断熱性が高くなっています。なお、アルゴンガスとは空気よりも熱伝導率が低い気体です。
トリプルガラスは断熱性だけでなく、紫外線の侵入も軽減してくれるなどのメリットがあります。一方、ペアガラスよりも導入費用が高く、コストがかかるのはデメリットです。
全熱交換器
全熱交換器とは、室内の空気を外に排気するとき、空気だけ排気して熱を給気した空気に戻すことで室内の温度低下を防ぐものです。
通常の24時間換気システムでは、外の寒い空気が常に室内に入ってきてしまうため、室内が寒くなってしまいます。しかも、24時間換気システムは1時間で室内の空気を半分入れ替られる設計になっているため、エアコンを付けてもなかなか室内が暖まりません。
しかし、全熱交換器を設置していれば暖かい空気が給気されるため、室内温度が一定に保たれます。全熱交換器は後付けでも設置できますが、設置には大きな費用がかかるため、設置する業者から見積もりを取得しましょう。
まとめ
新築戸建て住宅を購入し入居した後、冬の室内が寒いというのは意外と起こりえることです。
新築戸建て住宅には24時間換気システムが導入されており、木造在来工法で建築されているケースが多いため、そこまで断熱性が高いとはいえないからです。注文住宅を建築し断熱性にこだわる場合は別ですが、基本的には断熱性に関する知識をもっておいたほうがよいでしょう。
実際に入居してから室内が寒いと感じるのを避けるのは難しいため、入居後にできる対策方法を理解しておくことが大切です。