神奈川県での直近10年間で住宅地の地価が上がった街とその原因!
神奈川県は2022年の時点で人口第1位の東京に次ぐ人口の多さを誇り、人口増減率も3位の大阪府、4位の愛知県よりも高い都道府県です。
神奈川県の人口が増えると同時に地価も上がってきています。それではなぜ神奈川県は、地価が上昇しているのでしょうか。本記事では神奈川県の地価が上がっている理由や、時価に関連するランキングを紹介していきます。
神奈川県に住みたいけれどどのような街なのか、資産価値はどうなのかなど神奈川県について気になる人はぜひ参考にしてください。
地価にはさまざまな種類がある
神奈川県の地価の解説をする前に、まずそもそも地価とは何か解説していきます。
地価とは、文字通り土地の価値を表していますが、地価にはさまざま種類があり、どのような価値があるのか違いを理解しておく必要があります。
地価の主な種類は、次のとおりです。
- 地価公示価格:国土交通省が公表する地価で実勢価格の基準として利用される
- 路線価:国税庁が公表する地価で相続税や贈与税の計算に利用される
- 固定資産税評価額:自治体が法律を元に計算した地価で固定資産税や登録免許税などの計算に利用される
上記のように地価を示す数値はいくつかありますが、それぞれの地価は違うものです。純粋な土地の価値を知りたい場合は、公示価格を調べるとよいでしょう。路線価や固定資産税評価額は税金を計算する元となる地価であり、実勢価格よりも低く設定されています。
この後、解説していく神奈川県の地価ランキングは、すべて2023年1月に発表された地価公示価格を元にしています。
神奈川県の地価上昇率ランキングトップ5
2023年に1月に発表された地価公示価格では、神奈川県の多くの市区町村の住宅地で地価が上昇しました。とくに海側の市区町村の上昇率が大きく、沿岸部の平坦な地域で都心からも便利な地域の価値が見直されていることがわかります。
それでは、2023年地価公示価格で、地価の上昇率が大きかった神奈川県内の地点を紹介していきます。
1位:茅ヶ崎市浜竹
第1位は「茅ヶ崎市浜竹」で、神奈川県の住宅地として唯一上昇率が10%を超えました。
茅ヶ崎市浜竹は、藤沢市にあるJR「辻堂駅」のすぐ西にあり、「テラスモール湘南」も徒歩圏内という立地です。
「JR上野東京ライン」を利用できる便利な立地であり、生活利便施設も整っています。都内へのアクセスの良さと生活利便施設の充実度合が高く、都内に居住している人が住宅を求めにきているのが地価上昇につながっています。
調査地点:茅ヶ崎市浜竹2-7-6(上昇率10.8%)
2位:横浜市西区岡野
2023年神奈川県内の地価上昇率2位は「横浜市西区岡野」でした。
横浜市西区岡野は2022年の地価公示価格上昇率ランキング1位の地域です。JR「横浜駅」から南西にある地域で、横浜駅まで徒歩圏内という抜群の立地です。また、相鉄本線「平沼橋駅」からも近く、複数路線を利用できる立地でもあります。
すでに開発できる土地が少なくなってきており、新しい不動産が出ると高値でも取引されます。安定した需要の高さから2023年も地価上昇ランキングに入りました。
調査地点:横浜市西区岡野2-17-15(上昇率8.4%)
3位:茅ヶ崎市東海岸北
第2位の横浜市西区岡野の上昇率に肉薄したのは、第3位の「茅ヶ崎市東海岸北」でした。
茅ヶ崎市東海岸北は、JR「茅ヶ崎駅」の南に位置し、茅ヶ崎駅徒歩圏内です。茅ヶ崎市の中心部にあるため、アクセスの良さだけではなく、生活利便施設や公共施設まで揃っている地域です。2023年の地価は茅ヶ崎市中心に上がってきているため、中心部である茅ヶ崎市東海岸北がランクインするのもうなずけます。
調査地点:茅ヶ崎市東海岸北(上昇率8.2%)
4位:茅ヶ崎市東海岸南
2023年神奈川県内の地価上昇率ランキング4位は「茅ヶ崎市東海岸南」でした。
茅ヶ崎市東海岸南は第3位の茅ヶ崎市東海岸北よりも、JR茅ヶ崎駅から離れるものの、徒歩圏内であることには変わらず、住むのに適した地域といえます。
茅ヶ崎市東海岸南は「茅ヶ崎海岸」の至近であり、都心までのアクセスがよいにも関わらず、海という自然が近いのも魅力の1つです。
調査地点:茅ヶ崎市東海岸南3-9-14(上昇率7.5%)
5位:鎌倉市七里ガ浜
2023年神奈川県内地価上昇率5位は「鎌倉市七里ガ浜」でした。
鎌倉市七里ガ浜は江ノ島電鉄「七里ヶ浜駅」がある地域で、ほかの地域と違い自然豊かな場所です。立地の良さだけが地価に良い影響を与えるのはないことがよくわかります。
都心部に住むのは大きなメリットですが、都心部から少しだけ離れてゆっくりと過ごすというメリットが見直され始めているのかもしれません。
調査地点:鎌倉市七里ガ浜2-9-18(上昇率7.4%)
神奈川県の地価ランキングトップ5
神奈川県の地価上昇ランキングに続き、次は神奈川県の地価ランキングトップ5の市町村を紹介していきます。
地価上昇ランキングは近年注目を集めている地域といえますが、平均の地価が高い市町村は不動産の需要が長く続いている地域といえます。
さて、神奈川県の地価ランキングトップとどの市町村なのでしょうか。
1位:川崎市
2023年神奈川県内の地価平均が最も高かったのは「川崎市」でした。
川崎市は東京と横浜に挟まれたような立地にあり、大都市のベットタウンとしての機能を果たしています。とくに有名なのが川崎市中原区にある「武蔵小杉」でしょう。武蔵小杉周辺のタワマンは非常に人気があり、川崎市の地価の高さを押し上げています。
また、川崎市のほとんどの行政区は平たんな地域が多く、地価の低い地点が少ないことも1位になった要因だと考えられます。
川崎市の地価平均:40万8,867円/㎡
2位:横浜市
横浜市は日本でも有数な観光地であり、大都市です。11路線も乗り入れている全国的見ても巨大なターミナル駅である「横浜駅」を筆頭に、利便性が高い路線をいくつも有しています。
利便性の高さから横浜駅周辺では再開発が進行しており、「みなとみらい」などウォーターフロント都市として今後も発展が続くものと思われます。
横浜市の地価平均:35万円2,262円/㎡
3位:鎌倉市
鎌倉市と聞くと「鎌倉大仏」や「鶴岡八幡宮」などの観光地をイメージする人が多いことでしょう。
鎌倉市は都心部から離れているイメージもありますが、「鎌倉駅」から「東京駅」までは50分ほど、「新宿駅」であれば1時間ほどで到着することが可能です。自然豊かな立地でありながらも都心部のアクセスが良いという側面を持っています。
住む場所というよりもセカンドハウスを持つための地域でもあります。
鎌倉市の地価平均:25万3,910円/㎡
4位:藤沢市
藤沢市には観光地で有名な「江の島」があります。
しかし、藤沢市は観光ではなく、居住するのに向いている地域です。JR「藤沢駅」にはJR「湘南新宿ライン」だけでなく、「小田急電鉄」や「江ノ島電鉄」なども乗り入れている利便性の高い駅です。
藤沢駅から発着しているバスを利用すれば、「羽田空港」や「成田空港」まで直通で向かうこともできます。
また、駅前には巨大ショッピングモールもあり、アクセスだけでなく生活するための施設も整っています。
藤沢市の地価平均:23万3,563円/㎡
5位:茅ヶ崎市
茅ヶ崎市は藤沢市の隣に位置しており、都心部までのアクセスに優れています。
都心部へのアクセスに優れているだけでなく、海や山が近く自然も多く残っています。また、山側には商業施設が集まっているため、決して不便な立地ではありません。
駅前の利便性の高さ、海や山などの自然などさまざまな要素があいまった結果、地価の高さにつながっているのでしょう。
茅ヶ崎市の地価平均:21万7,910円/㎡
なぜ神奈川県の地価は上がっているのか?
神奈川県の地価が上がっている理由は「人口増加」が大きな理由です。
神奈川県では海側(茅ヶ崎市・藤沢市・鎌倉市)を中心に人口が増えており、人口増加にともない地価も上昇しています。神奈川県の海側は東京都心部へのアクセスが良く、商業施設が整っているにも関わらず、自然も多く残っているからです。
このような場所は海側だけでなく、一部の山側でも同じことがいえます。横浜市保土ヶ谷区や戸塚区です。たとえば、保土ヶ谷区は横浜市に属しているにも関わらず、自然が残っており駅周辺には商業施設が整っています。それにも関わらず、相模鉄道を利用すれば横浜駅まで10分程度で到着することが可能です。
まとめ
神奈川県は全国で2位という人口の多さを誇り、人口が上昇しています。
不動産は人口が増えるほど需要が増加するため、神奈川県の地価が上がっています。とくに人口増加が多い、茅ヶ崎市や藤沢市、鎌倉市を中心に地価の上昇がみられました。
以前は横浜市や川崎市のように都心部へのアクセスが良い市街地の地価が上がる傾向にありましたが、現在は都心部へのアクセスだけでなく自然があるかどうかも地価に影響してきていることがわかります。
不動産の価値は人の考え方によっても変わるため、今後、神奈川県の地価がどのように変化していくのか注視する必要があるのかもしれません。