新築戸建て完成後のアフターサポートを徹底解説
新築戸建てを購入するときに、間取りや設備、周辺環境を気にする人は多いことでしょう。しかし、新築戸建て完成後のアフターサポートまで気に止めている人は多くありません。
新築戸建てを購入して終わりではなく、入居してからがスタートです。そのため、アフターサポートまでこだわって新築戸建てを購入する必要があります。
本記事では、購入後に大切になってくるアフターサポートについて徹底解説します。記事を最後まで読み進めていただければ、アフターサポートの知識が得られ、新築戸建て購入時がスムーズに進むことでしょう。
アフターサポートと保証義務は違う
まずアフターサポートについての基礎知識について解説します。
新築戸建て購入時には様々な保証があります。しかし、アフターサポートと保証義務は違う保証です。そのため、どのような違いがあるのかを理解しておかなければなりません。
アフターサポートとは建築会社独自のサービス
アフターサポートとは、建築会社独自の保証サービスであり、建築会社ごとで内容が異なります。
アフターサポートの保証期間は2年と設定されていることが多く、次のような項目が主な保証項目です。
- 壁紙クロスのはがれ、すき間の補修
- 建具の不具合の補修
- 床鳴りの補修
アフターサポートの期間はどのくらいなのか、保証される補修工事はどの工事なのか、あらかじめ建築会社に確認しておきましょう。あらかじめ確認しておけば、入居後に失敗したと思うことを減らせます。
保証義務は法律で定められた保証
保証義務は法律で定められた保証です。
保証義務を定めた法律とは「住宅の品質確保の促進等に関する法律(通称:品確法)」です。
品確法で定めた、新築戸建ての保証義務は次のような内容です。
- 構造耐力上主要な部分等に欠陥が見つかった
- 雨水の浸入を防止する部分に欠陥が見つかった
- 上記内容が見つかったときには新築時から10年間保証しなければならない
構造耐力上主要な部分とは基礎や杭、スラブ、柱などの建物荷重を支える構造であり、雨水の浸入を防止する部分とは屋根や外壁などの部分です。
なお、新築戸建ての10年保証期間中に、建築会社が倒産などして保証できなくなったとしても、保証を受けられるので安心ください。
建築会社は10年間の保証を担保するために、新築住宅瑕疵保険などの保険に加入しています。この保険で保証工事ができるお金を確保します。
新築住宅瑕疵保険などに加入することは、法律で定められた義務です。
「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」(通称:住宅瑕疵担保履行法)により10年保証を担保するための義務が定められています。住宅瑕疵担保履行法に守られていることにより、購入者は安心して新築戸建てを購入できるわけです。
新築後2年以内に起きやすい補修箇所
新築戸建てだとしても新築から2年程度経過すると、様々な部分で補修をしなければならない箇所が出てきます。2年くらい経過すると建築材料の水分が抜けてきて、様々な影響が発生するからです。
新築後2年以内に起きやすい補修箇所は次のとおりです。
- 壁クロス
- 床
- 建具
- 結露
本章では新築2年以内に起きやすい補修箇所の内容について解説します。
クロス
壁材の水分が抜けることにより、壁材が引っ張られクロスの継ぎ目が大きくなってしまいます。サッシ回りもクロスの隙間が大きくなりやすい場所です。
クロスの継ぎ目については、ジョイントコークなどの充填材を利用すれば、ほとんどのケースで補修できます。
また、場合によっては壁材に打ち込んだビスがクロスに浮いてくることもあります。ビスが多少浮いてきても問題はありません。しかし、もし気になるようであれば、建築会社に相談してみるのもよいでしょう。
床
時間が経過すると歩いたときに、床から音鳴りが発生することもあります。
床から音鳴りがする原因は様々ですが、床材・構造材が伸び縮みしてしまったり、床下の接着剤が剥がれてしまったりすることで発生します。
音鳴りの対処方法は、音鳴りしている原因によって異なるため、音がし出したらまず建築会社に症状を見てもらうようにしましょう。
なお、床についた傷については、引き渡し前についた傷しか無料で補修はしてもらえません。引き渡し後についた傷は、有償になる可能性が高いことを覚えておきましょう。
建具
建材伸び縮みによりドアなどの建具が、きちんと閉まらなくなったり、音鳴りしたりするケースもあります。
建具に関しては、基本的に一般人でも調整できるようになっているため、症状が軽い場合は自分で調整するのもよいでしょう。自分自身で調整できないような建具の不具合が発生したときには、建築会社に相談し症状を確認してもらいましょう。
結露
建物自体に水分を含んでくると結露が発生することもあります。
近年の建築物は高気密の建物が多く、湿気が溜まりやすくなっています。そのため、24時間換気を設置しているのですが、冬は換気していると寒いという理由で切ってしまう人がいます。
しかし、24時間換気を切ってしまうと、結露が発生してしまうので注意しましょう。結露はクロスにカビを発生させる原因となるので、24時間換気は切らないようにする必要があります。
なお、換気不足で結露が発生し、クロスにカビが生えたとしても、このような場合は有償での補修となってしまいます。
アフターサポートについての注意点
アフターサポートがあるからこそ新築戸建てに安心して住めます。しかし、アフターサポートは万能ではなく、アフターサポートについて気をつけておかなければならないこともあります。
アフターサポートについての主な注意点は次のとおりです。
- アフターサポートが切れる時期に連絡は来ない
- アフターサポート基準があるか
- アフターサポートと点検は違う
本章ではアフターサポートについての注意点を解説します。
アフターサポートが切れる時期に連絡は来ない
アフターサポートにはそれぞれ期限が決まっています。しかし、期限に近づいてきても建築会社から、期限切れが近いという連絡は来ません。
アフターサポートの期限については購入者がスケジュール管理するしかありません。各保証期限をしっかりと確認しておき、それぞれの保証に対するキズなどができていなか確認しておきましょう。
アフターサポート基準があるか
建築会社はそれぞれアフターサポートを行っていますが、小さな建築会社だとアフターサポート基準を設けていない会社もあります。
アフターサポート基準とは、売買契約書・請負契約書とは別に配布する、アフターサポートの詳細が記載された書面です。アフターサポート基準には、どのようなキズを何年保証するなどが記載されています。
もしアフターサポート基準がなく、売買契約書・請負契約書に「保証は2年間のみ」などと記載されているときは要注意です。
アフターサポートと点検は違う
アフターサポートと点検は違うものにもかかわらず、混同されている人も多くいるのではないでしょうか。
アフターサポートは取り決めしたキズなどが一定期間内に発生すれば無料で補修してくれます。しかし、点検は無料で点検してくれるものの、点検後の補修工事はほとんどのケースで有料になります。
アフターサポートの基準内での点検であれば問題ありませんが、基本的に点検後の工事は有料と考えておきましょう。
インスペクションの利用を検討しよう
アフターサポートの期限が近くなったときには、インスペクションを利用するのもよいでしょう。
インスペクションとは、建築士などの建物の専門家が第三者として、建物劣化状況や欠陥の有無などを調査し、修繕やメンテナンスなどすべき箇所を教えてくれるサービスです。
インスペクションを利用することで、アフターサポートの無料保証を受けられるキズなどができていないか確認できます。自分自身でキズを見つけるのは難しいためインスペクションを利用してアフターサポートを受けるわけです。
ただし、インスペクションを利用するには費用がかかります。
目視確認であれば5万円~7万円程度、目視で確認できないような場所まで詳細に調べる場合は6万円~12万円程度かかります。当然、インスペクションにかかる費用は、建築会社は負担してくれず、調査を依頼した人が負担しなければなりません。
まとめ
アフターサポートとは、建築会社独自で設定した保証です。
建築会社によってアフターサポートの内容は異なりますが、一般的に2年間、クロスや床、建具の補修をしてくれます。しかし、アフターサポートは万能ではなく、利用には様々な注意点もあります。
注意点を理解しアフターサポートを利用すれば、不具合が起きにくくなり、安心して生活を送れることでしょう。