将来の拡張や改装の柔軟性を兼ね備えた住宅とは?いつまでも暮らしやすい長寿命な住まいを目指して!
住宅は長期的に利用するものであり、ライフスタイルの変化が起きます。 住宅によってはライフスタイルにあわなくなり、引っ越しをする人もいます。しかし、住宅自体は何十年ももつため、引っ越しするのはもったいない話です。 ライフスタイルの変化にあわせるためには、将来の拡張や改装の柔軟性を備えた住宅を建築することが大切です。 本記事では将来の拡張や改装の知識について解説しますので、住宅を長期間利用したいと考えている人はぜひ参考にしてください。
住宅を建築するときには拡張や改装のしやすさも考慮しよう
住宅を建築するときには、拡張や改装のしやすさも考慮しなければいけません。
住宅を建築すると何十年とその住宅に住みますが、その間に出産や子どもの独立、定年退職などさまざまライフスタイルの変化が訪れます。
ライフスタイルの変化が起こると今まで使い勝手の良かった住宅が、急に使いづらくなるケースがあります。たとえば、子どもの部屋を用意して広い住宅を建築した場合、子どもが独立してしまうと子ども部屋を倉庫としてしか利用しないなどです。せっかく建築したにも関わらず使い勝手が悪くなり、引っ越しを検討するという人も多くいます。
そのようなことにならないよう、ライフスタイルの変化にあわせて拡張や改装しやすい住宅を建築することが大切です。
改装がしやすい建物構造
住宅は構造によって、改装のしやすさが異なります。
たとえば、改装しやすいのは木造だと軸組工法、鉄筋コンクリート造だとラーメン構造です。これらの構造は柱や梁で建物の重量を支えているため壁を取り払うことが可能であり、間取りを自由に変更できます。
拡張に関しては構造でやりやすいとか、やりにくいということはなく、地盤の強さや既存の住宅に拡張があっているかどうかになります。つまり、拡張の計画次第で拡張できるかどうかが決まってくるということです。
改装しにくい建物構造
改造しにくい構造は、木造であれば2×4(ツーバイフォー)工法、鉄筋コンクリート造であれば壁式構造です。
どちらの構造も壁で建物を支える構造であり、耐力壁というものが存在し、耐力壁は取り払うことができません。
耐力壁があると間取り変更が自由にできなくなるため、改装をするという点から見るとあまりおすすめできない構造になります、
住宅の拡張や改築をするメリット
住宅の拡張や改築には、次のように多くのメリットがあります。
- ライフスタイルの変化に対応できる
- 新築への住み替えよりも費用が安くなる
- 工事内容によっては仮住まいの必要がない
住宅の拡張や改装をするにはお金がかかるものの、メリットを享受できると感じるのであれば、拡張や改装の実施を検討してみましょう。
ライフスタイルの変化に対応できる
住宅を拡張・改装すれば、ライフスタイルの変化に対応できます。
たとえば、子どもと同居することになったため拡張するだとか、年を重ねてきて段差が気になるためバリアフリー化するなどです。
住宅は居住する人の数、年齢により使い方が大きく変化していきます。変化に対応できない住宅を建築してしまうと生活に負担がかかり、処分や退去を考えてしまいます。
そのようなことにならないよう、拡張・改装しやすい住宅を建築しておくことが大切です。
新築への住み替えよりも費用が安くなる
拡張や改装は、建物を新築するよりも安く済みます。
現在の住宅に不満があったとしても拡張や改装で解決できる場合が多く、建物を新築する必要はありません。
建物を新築する場合、土地がなければ土地の購入費用、建物・外構の工事費用がかかります。それに比べると拡張・改装の費用は安く、費用を抑えた分、最新の設備を導入するなど選択肢が広がります。
もし新築せずに不満を解消できそうであれば、拡張・改装を検討してみましょう。
工事内容によっては仮住まいの必要がない
拡張や改装は工事内容次第で、仮住まいすることなく工事を進められます。
拡張する場合は建物の一部を取り壊して拡張する部分を増設していきます。取り壊す部分が大きくなければ、仮住まいすることなく工事を進めていくことが可能です。
改装も一部の部屋だけ間仕切りを撤去するなど、簡単な改装であれば仮住まいの必要はありません。ただし、リノベーション工事のように大規模な改修工事をする場合、仮住まいが必要になるケースもあります。
住宅の拡張や改築をするデメリット
住宅の拡張や改築にはメリットが多いものの、次のようなデメリットがあります。
- 拡張した部分から雨漏れしたり耐震性が低くなったりする可能性もある
- 拡張した部分と既存住宅の部分の違いがわかる
- 一定面積以上の拡張には建築確認申請が必要になる
住宅の拡張や改築をする前にはデメリットがあることを理解し、工事を進めていくか慎重に検討しましょう。
拡張した部分から雨漏れしたり耐震性が低くなったりする可能性もある
既存の住宅と拡張した部分がうまく施工できていなかった場合、継ぎ目から雨漏りしたり耐震性が低くなったりする可能性があります。
建物を建てるときや建て替えするときには同じ建築士が設計し一気に施工するため、建物強度が弱くなりにくいですが、既存住宅がどのように設計されたのか不明な部分があると拡張がうまくいきません。
拡張を依頼するときには、拡張を得意としている建築会社・設計士に依頼することが拡張を成功させるコツです。
拡張した部分と既存住宅の部分の違いがわかる
既存住宅と拡張した部分は外観や内装の雰囲気が異なり、違和感を覚える建物になってしまうケースがあるため注意しなければいけません。
建物に使われる材料は日々更新されており、既存住宅を建築したときの部材の多くは廃盤となってしまっています。そのため、既存住宅のデザインに似た建築部材を選んだとしても同じようにはならず、拡張した部分と既存住宅の部分の違いが気になってしまいます。
一定面積以上の拡張には建築確認申請が必要になる
10㎡を超える拡張をするときには、建築確認申請をしなければいけません。
建築確認申請とは、法律や条例に適合した建物の建築を自治体に申請することをいいます。建築確認申請は拡張前に申請しなければならず、費用もかかります。
なお、10㎡の面積規定があるのは一般住宅地であり、商業地などの一部の地域では面積に関係なく建築確認申請が必要なケースもあることには注意しなければいけません。
拡張や改築をするときの注意点
住宅の拡張や改築工事を実施する前には、次の注意点に気を付けて検討しましよう。
- 違法建築物にならないか確認しておく
- 古い建物には拡張や改装しない
- 複数の建築会社から拡張や改築の見積もりを取る
拡張や改築をするときの注意点を覚えておき、工事したことを後悔しないように進めていきましょう。
違法建築物にならないか確認しておく
建築できる建物の大きさや高さは、法律や条例によって規制されています。
拡張することにより法律や条例に引っかかることがあり、もし違反してしまうと拡張部分を撤去するよう自治体から指示されることもあります。
建築できる建物の大きさや高さは地域ごとに異なっているため、どこまで拡張できるか建築会社に確認しておかなければいけません。
古い建物には拡張しない
1981年5月31日以前に建築された旧耐震基準の建物は、現在の法律に合致していない建て方をしているため、拡張しないほうがよいでしょう。
旧耐震基準の建物を現在の耐震基準で拡張すると、新旧で耐震性に大きな差が出てしまいます。耐震性に差が出てしまうと、現在の基準で建築した建物の耐震性が低くなり、大地震発生時に拡張した継ぎ目がひび割れてしまったり、古い建物につられて倒壊したりします。
複数の建築会社から拡張や改築の見積もりを取る
拡張や改装をするときには、複数の建築会社から見積もりを取得しましょう。
拡張や改装は依頼する建築会社によって工事金額が変わるため、1社の見積もりだけでは適正な工事価格か判断できません。
相場より高い価格で工事してしまってはもったいないため、複数の建築会社から見積もりを取得し、安く施工してくれ信頼できる建築会社を見つけていきましょう。
まとめ
建築した住宅にいつまでも住むためには、ライフスタイルの変化にあわせられる建物を建築しなければいけません。
ライフスタイルの変化にあわせられる住宅とは、拡張や改装がしやすい建物です。
拡張や改装がしにくい建物の場合、生活に不満が出たときにはほかの住居に移る必要性も出てきてしまうこともあるでしょう。しかし、拡張や改装であれば新築ほどお金を掛けず、仮住まいも必要ないケースもあり、建築した住宅を長く使えます。
住宅を新築するときには将来のことも考え、拡張・改装しやすい構造を選択してみてはいかがでしょうか。