突然の洪水や豪雨への対策や備えはどう考える?浸水対策や排水システムの改善など!
近年、豪雨による洪水などの浸水被害を受ける地域が多くなってきています。
住宅を建築するときには、浸水被害を受けないように対策する必要があります。
しかし、浸水の対策をするにしても、どのような対策をする必要があるのか理解しておかないと対策ができません。
本記事では浸水に強い住宅の特徴や、浸水を抑える改修工事の内容などについて解説しますので、住宅を建築するときには浸水対策を考えている方はぜひ参考にしてください。
洪水や豪雨時の浸水対策は今や必須
洪水や豪雨時の浸水対策は年被害が大きくなってきており、対策を取ることが必須となってきています。
2023年6月後半から7月前半にかけて、活発となった梅雨前線がもたらした全国的な豪雨被害についてはまだ記憶に新しいのではないでしょうか。この豪雨では全国で13人の死者、768棟の床上浸水、2,078棟の床下浸水が発生しています。
床上浸水を起こす豪雨が毎年一回は全国のどこかで発生している現状を考えると、浸水対策はおこなっておくべきだということがわかります。
洪水や豪雨などの浸水に強い住宅の特徴
洪水や豪雨などで発生する浸水に対して強い住宅には、次のような特徴があります。
- かさ上げしてある
- 高床になっている
- 河川や池が遠く高台に建築されている
住宅を建築するときや購入するときには、浸水に強い建物なのか確認してから進めていきましょう。
盛土してかさ上げしてある
盛土してかさ上げしている住宅は、水の侵入を防ぎやすくなります。
水は低い方へ流れる性質があるため、建物が周辺よりも高い位置にあれば住宅内に水が侵入しにくくなります。建築されている住宅が周辺よりも一段低くなっている場合は水が溜まりやすいため、盛土して水の侵入を防ぐことが大切です。
盛土工事には費用がかかるため、どのくらいの工事費がかかるのか建築会社と相談して盛土するか判断しましょう。
高床になっている
基礎を上げて建築されているなど、高床になっている住宅は浸水しにくい建物です。
盛土は土地を上げることでしたが、こちらは基礎を上げて建物自体を高くする方法です。基礎だけを高くするだけでは心配な場合、1階をピロティとして2階から住居部分にするケースもあります。
ピロティとは、2階以上ある建物で1階が柱だけの空間になっている建築形式です。1階が駐車場、2階以上が買い物施設になっている商業施設などを思い浮かべるとどのような建築形式かわかります。1階部分を丸々かさ上げするため、ピロティでは浸水被害が起きにくくなります。
ただし、地震や強風には弱い傾向があるため、建築時には水平方向への力に耐える強度が必要です。
河川や池が遠く高台に建築されている
水が近くになく水が溜まりにくい立地に建築されている住宅は、浸水被害を受けにくい住宅です。
近年では雨量が激しく堤防を乗り越えて水が侵入する「外水氾濫」、下水道の処理能力を超えて水が侵入する「内水氾濫」が重なり、大きな被害をもたらしています。内水氾濫については対策しにくいため、外水氾濫の被害を防止すべく川や池の近くに住宅を建築しないことで対策をします。
建築する場所が高台である場合にはより高い浸水対策にあるため、周辺に水が溜まりにくい高台で建築用地を探すのもよいでしょう。
浸水被害を抑えるための排水システム改修工事
新築ではない既存住宅で浸水被害を抑えるためには、次のような排水システムを導入するとよいでしょう。
- 止水板を設置する
- 逆流防止弁を設置する
- 住宅用高排水システムを設置する
ここからは、上記の排水システムがどのようなものなのか解説しますので、改修をおこなうときの参考としてください。
止水板を設置する
水が侵入してきそうな箇所に、止水板を設置することで水の侵入を防止できます。
建物が周辺よりも低い位置にあったり、建物が半地下の構造になっていたりする場合に効果的です。
止水板には置くだけのものと、工事して止水板を設置できる構造物を建築するものがあります。置くだけのものだけだと効果は薄いため、止水板の設置工事ができる会社と打ち合わせし取り付けしましょう。
逆流防止弁を設置する
敷地内に逆流防止弁を設置すれば、豪雨時にトイレや洗面から水があふれる現象を抑えられます。
下水道の処理能力を超える雨が降ると、逆流してきた水や空気が宅内の配管に侵入し、トイレや洗面にある封水を押し上げて水があふれるケースもあります。
逆流防止弁を設置できるかどうかは、自治体指定の水道工事店に確認してみましょう。
住宅用高排水システムを設置する
住宅用高排水システムを雨どいに設置することで水を溜めることなく排水が可能です。
通常の雨どいは雨が一定量集中して降ると、水が排水できなくなりあふれてしまいます。あふれた水は相当な重さを持っているため雨どいを壊したり、あふれた水が原因で雨漏れを誘発したりします。
屋根に溜まった水をすぐに排水することで、住宅への被害の防止が可能です。
実際に浸水被害が起きそうになったときの対策法
実際に浸水被害が起きそうになったときには、次のような対策法を実施しましょう。
- 土のうを使って水の侵入を防止する
- 水中ポンプを設置する
- 危険な状況になる前に避難する
浸水に強い住宅に住んでも想像を超える雨量があった場合、浸水被害にあってしまう可能性もあります。
浸水被害を起こさないためにも、実際に水位が上がってしまいそうになったときの対処法は覚えておくことが大切です。
土のうを使って水の侵入を防止する
比較的浅い浸水が見込まれるときには、土のうを使って水の侵入を防止しましょう。
土のうを準備しておくスペースがない場合は、大きめのポリ袋を用意しておくと土のうの代わりになります。
被害が起きそうになったらポリ袋を2重にして水を入れ、水を入れた袋数個を段ボールに入れたりブルーシートでくるんだりして土のうのようにして使います。
水中ポンプを設置する
敷地内に水が侵入してきた場合、水中ポンプを使用し敷地外に排水しましょう。
水中ポンプは浸水した場所に設置し、電源につなぎ排水ホースで敷地外に水を運べる装置です。
電源が近くにないと利用できないため、排水する位置から離れた場所に電源が取れなければいけません。
水中ポンプはホームセンターなどで販売されており、さまざま種類があります。どのような水中ポンプを購入するのか、あらかじめ性能や価格を調べておきましょう。
危険な状況になる前に避難する
浸水被害にあった人は一気に水が増えたとよくいうように、大丈夫だと思い込んでいると危険な状態になるため、できる限り早めに避難しましょう。
避難するときには避難所の位置を調べておくだけでなく、避難所に向かうための道のりに危険な場所がないかも調査しておくことが大切です。避難所に向かったにもかかわらず、道中で危険な場所を通過するのでは意味がありません。
実際に避難所まで歩いてみて危険な箇所はないか確認しておきましょう。
水害にあわないために定期点検もしておこう
水害にあわないためには、自宅や自宅周辺の定期点検をしておくことが大切です。
定期点検しておく場所は、次のとおりです。
- 屋根や外壁にひび割れが起きていないか
- 雨どいに落ち葉などが溜まっていないか
- 自宅周辺の雨水ますの上にゴミが溜まっていないか
- 自宅周辺の排水路にカーステップやプランターを置いていないか
自宅を定期点検するときには、屋根・外壁や雨どいの状態を確認します。
屋根・外壁にひび割れが起きていると、雨漏れの原因となってしまいます。
雨漏れを起こさないようにするためには、定期的な点検と塗り替えなどのメンテナンスをおこなうことが大切です。
雨漏れは修復が困難であり高額な費用になりがちで放置する方もいますが、住宅の痛みを進行させてしまうので必ず補修しましょう。
また、自宅周辺の排水設備がしっかり機能しているか確認しておくことも大切です。
排水口の上にゴミが溜まっていると排水を阻害してしまい、水があふれやすくなってしまいます。排水路にカーステップやプランターを置いている場合も同様に排水を阻害するため、置かないように配慮しなければいけません。
浸水被害を抑えるためにも、定期点検を欠かさずおこなっていきましょう。
まとめ
突然の洪水や豪雨への対策は不可欠なことになりつつあり、浸水対策を考えた住まいの建築・改修の必要性が高まってきています。
住宅の浸水対策をするには、浸水に強い家の特徴や浸水対策になる設備についての知識を得ておく必要があります。
浸水対策をしっかりとおこったうえで、浸水被害を受けないよう定期点検し、万が一のときに備えておくことが大切です。