電力自由化で何が変わった?電力会社を選ぶとき重視すべき3つのポイントを解説
実は、契約する電力会社や料金プランを見直すことで、毎月の電気料金が安くなるケースは珍しくありません。しかし、いくつもの電力会社が数多くのプランを提示するなかで、どのように新しい契約先を探せば良いのか分からない人が多いことも事実です。
そこで「別の電力会社に切り替えたいけれど選び方が分からない」という悩みを解決するため、今回は電力自由化の概要と新電力会社を選ぶときの3つのポイントを解説します。
よくある「新電力会社に切り替えれば必ず安くなるの?」「契約先が倒産したらどうなるの?」といった疑問にもお答えしますので、契約先の切り替えを検討している方は最後までご覧ください。
電力自由化とは
2016年4月まで、日本では東京電力や関西電力など「大手電力会社」と呼ばれる10社からのみが電気を販売していたため、個人が自由に契約する電力会社を選べませんでした。
しかし、2016年4月1日から電気の小売業への参入が自由となり、いわゆる「新電力」と呼ばれる従来とは別の電力会社と契約できるようになりました。これを電力自由化と呼びます。
電力自由化により契約先となる電力会社の選択肢が増え、私たち消費者は自身や家族のライフスタイルに合ったプランで電気を利用できるようになりました。
現在でも各会社がサービス内容や価格で競いながら新プランを打ち出しているため、無駄な出費を防ぐためにも定期的に契約先の見直しをおすすめします。
新電力会社は数が多く、一見すると違いが分かりづらいため「どの電力会社と契約すればよいか決められない」という事態が起こりがちです。新電力会社を選ぶときのポイントは複数ありますが、まず以下の3つを確認して比較・検討すれば大きな失敗を減らせるはずです。
- 料金プラン
- キャンペーン
- 発電方法
電力会社を切り替える際には、ここから解説するポイントを意識しつつ各サービスを比較してみてください。
料金プラン(セットプラン)
電力自由化以降は料金プランの多様化が進んでおり、一般的な料金プランである従量電灯プラン(使用量に応じて支払うプラン)のほか、いまでは「一定量まで定額となり使用量が増えるほどお得になるプラン」や「特定の時間帯のみ料金が下がるプラン」があります。
たとえば、電力消費量が大きな家電を多用したり世帯人数が多かったりする場合、使用量が一定以上になると割安になるプランが適している可能性があります。
一方、自宅での主な活動時間が夜間となる場合、もしくはエコキュートなどの夜間蓄熱式機器を設置している場合には、夜間の電力が割安となるプランが候補に挙がるでしょう。
以上を考慮し、自身のライフスタイルと照らし合わせたとき、一番料金が安くなる見込みのプランを選ぶことが基本です。なお、ガスの契約先も見直す場合には、電気とガスをまとめて契約することで割引される「セットプラン」も有力候補となります。
キャンペーン
電力自由化にともない競争が激しくなったため、新規顧客を獲得するためにキャンペーンへ力を入れている会社もあります。
キャンペーンの内容・手厚さは各会社により異なるため事前調査に苦労しますが、数ヶ月分の電気料金が免除されるケースもあるため有効活用したいところです。
ただし、キャンペーンは一時的なメリットである場合がほとんどであるため、手厚いキャンペーンと引き換えに割高な料金プランを契約すると長期的に損する可能性があります。
まずは料金プランで電力会社を比較し、そのなかで最終的な候補となった選択肢から「よりキャンペーンが魅力的な電力会社」を選択することをおすすめします。
発電方法
現在、日本の電力を支える主な発電方法は火力発電です。すでにご存じかもしれませんが、火力発電所の稼働は昨今問題視されている地球温暖化につながると考えられているため、世界的に「火力発電に頼らず再生可能エネルギーで発電しよう」という流れとなっています。
そのため、電力会社のなかには水力発電で作った電気のみを販売するプランや、日中のみ太陽光発電で作られた電気を販売するプランが登場してきました。
「環境問題に配慮しつつ電気を使いたい」という場合には、再生可能エネルギー由来の電気を販売している電力会社の利用を検討してみてください。
新電力会社を選ぶときの注意点
「しっかりと公式ホームページに目を通して比較する」という点さえ押さえておけば、契約先選びで大失敗するリスクはほとんどありませんが、以下の3点は見落としがちであるため留意しておくことをおすすめします。
- 解約時に費用がかかる場合がある
- 支払方法が少ない場合がある
- 供給エリアが限定的な場合がある
それぞれ順番に解説していきます。
解約時に費用がかかる場合がある
もっとも注意すべき点は、電力会社や契約プランによっては解約時に解約金・違約金が生じるケースがあることです。自宅のライフスタイルとサービス内容がマッチしない可能性も考慮して、どのような条件でどの程度の解約金が生じるのか確認しておきましょう。
支払方法が少ない場合がある
新電力会社のなかには、クレジットカード決済にしか対応していない会社があります。場合によってはデビットカードやプリペイドカードで代用できる場合もありますが、契約先次第で「口座振替が利用できない」という場合がある点には注意が必要です。
供給エリアが限定的な場合がある
新電力会社は必ずしも全国展開しているわけではなく、供給エリアを一部地域に限定している場合もあります。
大抵は申し込みの時点で気付くため大問題に発展することは稀ですが、契約候補として絞り込んだ電力会社が自宅のあるエリアに対応していなかった場合、再度契約先を探し直す手間が発生します。
比較検討に余分な労力を割くことがないよう、大前提として「供給エリアが限定的なサービスもある」と意識して契約先選びに臨んでみてください。
新電力の利用に関するよくある疑問
電力自由化から5年以上が経過しているため、すでに電力会社の切り替えについて正しい知識を持っている方も多いのですが、まだまだ以下のような疑問を持っているケースは珍しくありません。
- 契約先変更による電気の質の変化はあるのか
- 電力会社の切り替えにより必ず安くなるのか
これらの疑問を抱いている場合は、ぜひ本章をじっくりご一読ください。
契約先変更による電気の質の変化はあるのか
契約先変更により自宅に届く電気の質が変わったり、電力供給が不安になったりすることを心配する声はありますが、それらの点を心配する必要はありません。
というのも新電力会社が担当するのは電気の小売り(販売)であり、電力供給そのものは従来の大手電力会社が行うからです。どの電力会社と契約しても送電のために使われる送電網は従来と同様であり、受け取る電気の性質が変わることはありません。
また2022年には新電力会社の倒産が相次いだため「新電力会社が倒産した場合どうなるのか」と懸念する声もありますが、契約先が倒産しても電力供給が止まることはなく大手電力会社が引き続き送電を行うこととなります。
いきなり電気が使えなくなることはなく、別途新たな電力会社と契約を結ぶこともできるためご安心ください。
電力会社の切り替えにより必ず安くなるのか
電力自由化により電気の小売りに価格競争が起こったため、新電力会社に切り替えることで月々の電気料金が安くなるケースは増えてきました。ただし、電力会社を切り替えることで確実に光熱費が安くなるわけではありません。
「新電力会社を選ぶときの3つのポイント」の章で解説したように、特定の条件下で電気料金が割安になるケースは増えました。しかし、ご家庭のライフスタイルにマッチしない料金プランに変更してしまった場合、電気料金がかえって増えてしまう可能性があるのです。
電力会社を切り替える場合には「我が家のライフスタイルにこのプランは最適なのか」という点に注意を払い、各電力会社が提供するシミュレーションを活用しながら比較検討を進めてみてください。
まとめ
電力自由化にともない、契約候補となる電力会社が増えたことで「どの電力会社にすべきか」「そもそも契約先を変える必要はあるのか」と戸惑う声が挙がりますが、本記事で解説したポイントさえ押さえておけば電力会社選びで大失敗するリスクはありません。
出産や介護により家族が増えたり、子どもが自立して家を出たり、年月が経てば1つの家庭でもライフスタイルが変わるものです。その都度、最適な電力会社を選び直し、家計の無駄を削るヒントとして本記事をご活用ください。