家を建てるならいつ?着工~竣工の期間と理想のタイミングを解説
マイホームの新築にあたり「どんな家を建てるのか」は盛んに話し合う一方、意外と「どのタイミングで家を建てるのか」はスパッと答えが出にくいものです。家を新築する場合、着工(工事の始まり)から竣工(工事の終わり)までに約4~6ヶ月の期間を要するのが一般的です。
この期間を意図的に短縮することはできないため、あらかじめ適切な竣工時期を設定しておき、そこから逆算して家づくりのスタート時期を決めることをおすすめします。
本記事では、家を建てるタイミングの判断基準をいくつかピックアップし、家づくりの計画を考えるときの重要なポイントを解説します。
一般的な着工から竣工までの期間
冒頭で述べたように、着工から竣工までの期間は4~6ヶ月程度が一般的です。その期間中にどのような作業が行われるのか、着工前と竣工後を含め以下の順番で概要を紹介します。
- 着工準備(約1ヶ月間)
- 基礎工事(約1ヶ月間)
- 建方工事(約1週間~半月)
- 外装工事(半月程度)
- 内装工事(約1ヶ月間)
- 完成・引き渡し(約1週間~半月)
なお、各工程にかかる実際の期間や具体的な内容は、それぞれのケースによって違いがあります。本章で紹介する着工から竣工までの期間は、あくまでも目安としてお考えください。
着工準備(約1ヶ月間)
着工前には、家を建てる土地の地盤強度を確認するために地盤調査を行い、地盤改良が必要となる場合には地盤改良工事を行います。
また施主の希望に応じて、無事に工事が終わるよう神主に祈願してもらう「地鎮祭」を行うケースも。そして縄を使って建物の配置を示す「地縄張り」と呼ばれる作業を行い、着工準備が完了となります。
基礎工事(約1ヶ月間)
基礎工事では、建物の基礎を作るために地盤を掘り起こす「根切り」や地盤に砕石を詰める「地業」を施し、固めた地盤にコンクリートを流し込んでいきます。
その後、家の構造体の骨組みとなる鉄筋を組み立てたり、生コンクリートを流し込んで建物の基礎を作ったり、屋内外の水道管を繋げたりといった工事を行います。1階床の骨組みや高所作業のための足場を組むのはこの段階です。
建方工事(約1週間~半月)
基礎のうえに柱や梁などの構造体を組み立てる「建方工事」を終えたあと、いよいよ外装工事に入ります。また施主の希望によっては、上棟(屋根を支える棟木を取り付けること)を祝う「上棟式」と呼ばれる儀式を行います。
外装工事(半月程度)
外装工事は屋根や外壁など、建物の外側にある設備や装飾を対象とする工事を指します。外装工事には2~3週間程度の期間を要する場合が一般的です。
現場が天候に左右される機会を減らすため、外装工事は最初に板材や防水シートを屋根に張るところから始めます。このほか防蟻工事や断熱工事、外壁工事なども外装工事に含まれます。
内装工事(約1ヶ月間)
内装工事では、施主が選んだ壁紙を貼る作業やフローリング・タイルなどの床材貼り、床暖房の設置などを行います。そのほか建具や照明、キッチンやユニットバスなど屋内のあらゆる設備が設置されます。
完成・引き渡し(約1週間~半月)
工事終了後、施主の立ち合いのもと施工状態を確認する「竣工検査」を行います。建物全体に問題が見られず、補修の必要がない場合は物件の引き渡しとなり、引越しができる状態となります。
【ケース別】家を建てるタイミングの判断基準
家を建てるタイミングの主な判断基準としては、以下が挙げられます。
- 季節ごとの問題を考慮する
- 優遇制度や税制を考慮する
- 入学や新学期から逆算する
- 出産や育児状況から逆算する
- 運気を考慮して時期を決める
上記に優先順位を付けて、1番大切だと思われるポイントを外さないように着工・竣工時期を設定することで、家族のライフイベントに合った家づくりができます。
季節を考慮してタイミングを判断する
家を建てる際、季節ごとの気象条件によりトラブルが生じる可能性があります。たとえば、基礎工事のコンクリート打ちのタイミングが真夏と被り、気温が30℃を超えるような場合はクラック(ひび割れ)が発生しやすくなります。
一方、コンクリート打ちのタイミングが真冬と被り、1日の平均気温が4℃以下になると凍結の懸念があるため、コンクリート打ちは真夏・真冬を避けるのが無難です。
また建材である木に雨水がかかると、強度低下やシミが生じる懸念があります。濡れてしまった木材は乾燥させれば問題ない場合がほとんどですが、むやみにリスクを抱えないためにも梅雨や台風の時期は避けることが推奨されます。
優遇制度や税制からタイミングを判断する
国や自治体が設けている優遇制度のなかには、時期によって内容・条件が異なるものもあります。
2022年現在は、特に省エネ住宅に対する優遇制度が豊富ですが、その種類や内容は今後も変化していくことが予想されるため、狙った優遇制度にマイホームの新築時期を合わせる意識も大切です。
また竣工時期によって支払う税額が変わる場合もあるため、留意しなければなりません。
一例を挙げると、毎年1月1日時点で建物を所有している人に課せられる「固定資産税」は、マイホームの完成日がたった数日変わるだけで負担税額に1年分の違いが生じます。
固定資産税は「1月1日時点で建物を保有している人」に課税が行われる特性上、翌日にあたる1月2日時点からマイホームの保有を始めた人は、翌年度からの課税になるのです。
- 本年度から課税:1月1日以前に建物を保有した場合
- 翌年度から課税:1月2日以降に建物を保有した場合
ほんの少し完成時期が変わるだけで負担する税額が1年分変わるため、確認しておきたいポイントの1つです。
入学・新学期から逆算してタイミングを判断する
新築するマイホームへの引越しにより学区が変わる場合、子どもの入学や新学期などの節目に竣工を合わせる手もあります。これにより、年度途中に転校する場合よりも子どものストレスを軽減できます。
入学や新学期に引越しを合わせたい場合は特に、その節目の手前ギリギリに竣工となるスケジュールは避けた方が無難です。
たとえば進学のタイミングに引越しを合わせたいなら、3月半ば以降に引き渡しとなるスケジュールでは慌ただしい転居を強いられることになるため、スケジュール調整には注意が必要です。
出産や育児状況からタイミングを判断する
出産前後や育児初期など、妊娠中の母体や子どもに細心の配慮が求められる時期に竣工となれば、通常時の引越しよりも負担が数段膨れ上がります。特に妊娠中は思うように身体を動かせませんし、嗅覚が敏感になるため新築特有の塗料の臭いがストレスになることも。
出産を終えたあとだったとしても、乳児の面倒を見ながらの引越し作業は負担が大きく、乳児や親自身のストレスにも繋がります。出産を控えている場合には、以上の点を考慮して少しでも負担を抑えられるようにスケジュール調整ができれば理想的です。
運気を考慮して時期を決める
人によって重視するか否かが分かれる部分ですが、ご家庭によっては運気を考慮して家づくりに臨むケースがあります。運気を予測する方法は複数ありますが、日本人にとって馴染み深い占いは「六曜」と呼ばれるものです。
一度は「先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口」といった6種類の吉凶日を振り分けたカレンダーを見たことがおありではないでしょうか。六曜は引越しとも関係があり、たとえば大安の日が最も引越しに適しており、仏滅や赤口は避けるべきとする考え方があります。
ほかにも「厄年を避けて新築すべき」とする考えや、生年月日から運を見る四柱推命で「引越しは運の良い時期に合わせるべき」とする考えなど、占いを活かした家づくりの考え方はいくつもあるのです。
運気を気にしないなら考慮は不要かもしれませんが、少しでも運気の良いタイミングで引越しを検討したい場合、占いの専門家へ相談するのが良いでしょう。
まとめ
今回説明した通り、家を建てるためには約4~6ヶ月の期間を要します。新居への引越しを特定のライフイベントに被せたり、逆に避けたりしたい場合には、あらかじめ予想される工期から逆算して着工できるように調整することをおすすめします。
ぜひ、本記事の内容をスケジュール調整の参考にお役立てください。