憧れのマイホーム購入で迷わない!現金一括とローン活用はどう違う?

マイホームの購入は、多くの人にとって人生最大の買い物です。

そのため住宅ローンを組んで購入する流れが一般的ではありますが、利息を考慮すると現金一括で購入する選択の方が賢いようにも思えます。

現状、マイホームを一括購入できるだけの現金があったり、あと数年で十分な資金を貯められる見込みがあったりする場合、現金一括か住宅ローンを利用するかどちらが良いのでしょうか。

今回は憧れのマイホームの購入検討時に知っておきたい「現金一括購入」と「ローン購入」のメリットを比較解説します。

現金一括でマイホームを購入する3つのメリット

マイホームを現金一括購入する場合、挙げられる主なメリットは3つです。

  • 購入手続きの負担が少ない
  • 住宅ローンの利息が発生しない
  • 購入時にかかる諸経費が少ない

現金一括購入は一度に多額の出費をともないますが、一時的な出費が問題にならないのであれば「総支出額」や「手続きの手間」の観点ではメリットが大きい選択肢です。それぞれ順番に解説していきますので、現金一括購入を検討している方はご一読ください。

メリット①:購入手続きの負担が少ない

現金一括でマイホームを購入する場合、住宅ローンを利用してマイホームを購入するよりも手続きが少ないため、住宅取得までにかかる労力を最小限にできます。現金一括で購入した場合と、住宅ローンを利用して購入した場合の大まかな流れを以下にまとめました。

現金一括で購入した場合の流れ 住宅ローンで購入した場合の流れ
1.   マイホームの購入申し込み

2.   売買契約(手付金の支払い)

3.   マイホームの残代金を決済

1.   物件の購入申し込み

2.   住宅ローンの事前審査

3.   売買契約(手付金の支払い)

4.   住宅ローンの本申し込み・審査

5.   ローンの承認

6.   ローンの借入契約

7.   融資実行

8.   マイホームの残代金を決済

大まかには上記のような違いがあるため、現金一括購入は住宅ローンを利用する場合よりも手続きにかかる労力を減らせます。

手続きにかかる期間は、現金一括購入の場合であれば1週間程度、住宅ローンを利用する場合であれば売買契約締結後1~2ヶ月程度であるため、時間的にもかなりの差が生まれます。

また、より手続きがシンプルである現金一括購入の方が、住宅ローンを利用する場合よりも必要書類が少ない場合が一般的です。

メリット②:住宅ローンの利息が発生しない

現金一括購入の場合は、住宅ローンの利用時に生じる利息を支払う必要がありません。

金利0.5%で35年間の住宅ローンを組み、4,000万円のマイホームを購入したと仮定すると、利息の総額は35年間で約742万円となります。

変動金利を選んだ場合、金利0%台前半の住宅ローンを利用できますが、固定金利を選ぶと金利が0%台後半や1%前後になる場合もあるため、借入金額が同じ条件でも利息総額をより多く支払うことになります。

現金一括購入であれば一切利息が生じないため、先ほどの例であれば約742万円分の負担が一切なくなります。

メリット③:購入時にかかる諸経費が少ない

住宅ローンを利用する場合、融資にともない生じる「融資手数料」や、住宅ローンを返済できない場合に備えて支払う「住宅ローン保証料」など、利息以外にも支出があります。これらはマイホームを現金一括で購入すれば負担する必要がないため、全体的な支出額を抑えられます。

ローンを利用してマイホームを購入する3つのメリット

住宅ローンを利用してマイホームを購入する場合、以下がメリットとして挙げられます。

  • 手持ちの現金を温存できる
  • 住宅ローン控除を利用できる
  • 団体信用生命保険で万が一に備えられる

利息や諸経費を含めトータルの出費は大きくなりやすいのですが、一度に負担するお金をコントロールしやすく、制度面での優遇も受けられます。

メリット①:手持ちの現金を温存できる

現金一括購入を選んだ場合、数千万円単位の支出になるため、一時的に手持ちの資産が大きく減ります。一方、住宅ローンでは頭金を用意せず「フルローン」という選択肢もありますし、無理のない範囲で資金を割いて借入金額を抑える形に落ち着けることも可能です。

現金一括購入に比べて手持ちの現金を温存させやすいため、余裕を持って税金の支払いなどに臨めるほか、マイホームに合わせた家具・家電の充実に充てられることも魅力です。

メリット②:住宅ローン控除を利用できる

住宅ローンを利用してマイホームを購入する場合、住宅ローン控除を受けられます。

住宅ローン控除を受けることで、入居時から13年のあいだ「年末時点の住宅ローン残高における0.7%」を所得税・住民税から控除できるため、これらの減税効果により間接的に家計の負担が抑えられる仕組みです。

なお、住宅ローン控除は2022年に改正され、適用期間が10年から13年に長期化された反面、控除率が1%から0.7%に下がったことから「改正前の方が良かった」とする意見もあります。

しかし、改正後の制度は高所得者への優遇を減らす方向へ変更されています。一般的な世帯収入の場合はそれほど変化がない、あるいはやや有利な状況となっているため、多くの家庭にとって2022年の改正が大きな悪影響となる懸念はほぼないと考えて良いでしょう。

メリット③:団体信用生命保険で万が一に備えられる

住宅ローンを利用する場合、同時に団体信用生命保険へ加入するケースが一般的です。通称「団信」とも呼ばれる団体信用生命保険は、契約者がローン返済前に亡くなったり高度障害状態に陥ったりした場合、住宅ローンの残額が保険金で完済される生命保険です。

通常の生命保険のように、本人や配偶者などに保険金が支給されるものではありませんが、代わりに「ローン完済済みのマイホーム」が手に入ります。

本人に不幸が起こらないことが一番ではありますが、住宅ローンと団体信用生命保険の組み合わせは万が一の事態に対する備えとなるため、これも現金一括購入にはないメリットだといえるでしょう。

現金一括購入・住宅ローン活用のデメリットとは?

現金一括でマイホームを購入した場合と、住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合、それぞれの主なデメリットは以下です。

現金一括購入のデメリット 住宅ローン利用のデメリット
l  保険加入を忘れる可能性がある

l  手持ちの現金を温存しにくい

l  住宅ローン控除を利用できない

l  団体信用生命保険を利用できない

l  ローン条件に応じた利息が生じる

l  現金一括購入よりも手続きが多い

l  現金一括購入よりも諸経費が多い

l  毎月の固定出費が増える

基本的には「もう一方の方法にあるメリットが得られないこと」がデメリットなのですが、一部見落としがちなデメリットがあります。

たとえば、住宅ローンを利用してマイホームを購入する場合、ローンの利用に火災保険への加入が必要となるため、火災保険の加入を忘れることはほとんどありません。しかし、現金一括購入の場合、保険未加入でも手続きを進められるため、保険の加入を忘れる可能性があります。

また、現金一括購入を選ぶケースのなかには中古住宅の取引も多く含まれますが、中古住宅の購入には「すまい給付金の対象にならない」といった、隠れたデメリットも存在しています。

もし、すまい給付金など何らかの支援策を利用しようと考えている場合、選択が変わることで対象から外れないか事前に確認しておきましょう。

現金一括購入・住宅ローン活用どっちがおすすめ?テン選びを心がけましょう。

結論「現金一括」か「ローン活用」か決める判断材料は、マイホームを購入する人の資産状況次第といえます。

現金一括でマイホームを購入しても当面の生活に支障がない場合は、現金一括を選ぶ方が諸経費や手続きにかかる労力などの全体的な負担は減るため、より有利な選択だといえるでしょう。

一方、全体的な負担は増えたとしても、資産状況を考慮して「支出が長期的に分散した方が不安は少ない」と感じる場合には、住宅ローンを活用した方が安心してマイホームを購入できます。

あらためて資産状況を確認し、現金一括とローン活用のメリットを比較したうえで、無理なく購入の負担を抑えられる選択肢を選んでいただくと後悔が少ないはずです。

まとめ

今回はマイホームを現金一括で購入した場合と、住宅ローンを利用して購入した場合を比較し、どちらを選択すべきか判断材料となるポイントをご説明しました。

当然のこと、どちらの方法もメリットの裏側にはデメリットが潜んでいるため、本記事を参考に慎重に比較検討を進めてみてください。