家づくりで夫婦喧嘩に?トラブルの要因とすれ違いの防止策を紹介

意外に思われるかもしれませんが、家づくりの際に夫婦喧嘩が起きるご家庭は珍しくありません。それどころか、家づくりがすれ違いの原因となり、新築住宅が完成したあとに離婚してしまうケースもあるのです。

一体、家づくりの何が原因で夫婦喧嘩が勃発するのでしょうか?

ここでは、家づくりをきっかけに夫婦喧嘩が起こる要因と、それぞれの対策について解説します。「うちに限って喧嘩は起こらないだろう」とお考えの方も、万が一に備えてご一読ください。

家づくりで夫婦喧嘩に?すれ違いの主な理由とは

家づくりの開始後だけではなく、家づくりの着手前にも夫婦喧嘩の原因は潜んでいます。

この章では、家づくりの前後に起こるものも含めた、あらゆる夫婦喧嘩の要因をご紹介します。「どのようなすれ違いが起きるか想像できない」という場合には、まずこちらの7項目をご覧ください。

タイミング

マイホームの購入時期に関するすれ違いは、初期に起こる夫婦喧嘩の代表です。

「このくらいお金を貯めてから家づくりを考えたい」や「子どもの進路が決まってから家づくりを考えたい」など、それぞれが異なる価値観を持っている場合は多いため、家づくりのタイミングは夫婦のあいだでも意見の相違が起こりやすい話題なのです。

ハウスメーカー

ハウスメーカーが変われば、住宅の雰囲気や機能性、予算感はまるっと変わります。

そのため、妻が「A社のデザイン性の高い大手ハウスメーカーが良い」と主張する一方、夫は「最低限の機能性を実現させつつローコスト住宅を選べるB社が良い」と主張するなど、意見がきっぱりと分かれやすい部分です。

立地

立地が変われば利便性や治安、育児環境や実家までの距離など、あらゆる条件が変わります。

そして利便性1つを取ってみても「通勤の利便性」や「通学の利便性」、「買い物の利便性」など複数の観点があり、それぞれが完璧な条件の立地はそうそう見つかりません。そのため、夫婦間で立地に求める条件の優先度が違い、揉めて喧嘩に発展する場合があるのです。

予算とローン

家づくりは人生のなかで最も高額な買い物の1つであり、基本的には数千万円の予算が必要になります。家づくりにこだわりを持ち込めば、その分だけかかる費用は高額になるため、希望する条件が多ければ予算はさらに膨らみます。

また、一般的には住宅ローンを利用して新築費用に充てることとなるため、返済計画についても熟考しなければなりません。

近年は景気が良いとはいえず、大手企業の正社員であっても減給やリストラ対象となることから「借金はできる限り少額に抑えたい」とする考え方も広がりつつあります。お金の価値観は人それぞれ異なり、繊細な話題であるため、金銭面の考え方の不一致から喧嘩に発展する場合があります。

打ち合わせ

業者の担当者との打ち合わせで、夫婦を交えた3人がスムーズに意思疎通できれば理想なのですが、いざ打ち合わせになると上手く意見を伝えられない場合があります。

その結果、打ち合わせ当日は皆が納得して終わったように見えても、帰宅後に「実はあれは反対だった」と意見が挙がるケースは珍しくありません。夫婦のどちらか、または両方が担当者を交えての意見出しを苦手にしている場合、このような意見の巻き戻しは何度も起こります。

打ち合わせの進行度が一進一退となることで夫婦間に苛立ちが募り、喧嘩に発展する懸念があるのです。

モチベーション

家づくりを進めることに対しては夫婦ともに賛成であるものの、どちらか一方のモチベーションが高く、もう一方のモチベーションが低いと喧嘩に繋がる懸念があります。

たとえば、できる限り早く新築の理想像を固めたいと思い、モチベーションの高い妻がどんどんと意見を出すものの、夫は熱量が乏しくぼんやりとした意見しか返さない……といったケースが想定されます。

上記の場合、妻は夫に「家づくりに協力してくれない」と感じ、夫は妻に「緊急性が低いことで急かさないでほしい」と感じてイライラしてしまうのです。

こだわり

夫婦が2人ともこだわりの強い性格であれば、お互いに要望を譲れずに衝突する場合があります。両者が納得しないまま、どちらかの要望を押し付けて家づくりを進めれば、険悪な空気を長く引きずる可能性があるでしょう。

一方で、こだわりがないからといって、家づくりを相手に一任する姿勢も夫婦喧嘩の種です。

一任する側は「自由に決めて良い」という、相手に決定権を委ねる優しさを言葉に出しただけかもしれませんが、一任される側のなかには「丸投げするのではなく一緒に考えてほしい」と考える人もいます。

家づくりの際、決めなければならないことは無数にあるため、自由に決めても良いという言葉が「自分は家づくりに関与しない」と突き放した意味に聞こえる場合もあるのです。

夫婦喧嘩を避けるための対策アイデア

よくいわれる「事前に予算を決めておく」や「希望を明確にしておく」も重要ではありますが、それだけで簡単に解決する問題ではないからこそ、多くの家庭で深刻な夫婦喧嘩が起こっているのです。

そこで本記事では、夫婦喧嘩を避けるための具体的なアイデアとして、実践していただきたい対策を3つ挙げました。

  • 互いに話し合いを始めるまえに要望を書き出す
  • 場所ごとにそれぞれが決定権を持つ
  • 設計士に「理想の暮らし」を伝えて逆算してもらう

もちろん、これだけで完全に夫婦喧嘩を避けられるわけではありませんが、見落とされがちな「両者が満足できる家づくりの第一歩」であるためご一読ください。

互いに話し合いを始めるまえに要望を書き出す

家づくりの際に検討すべきポイントは無数にあります。

「予算さえ決まればOK」や「立地とデザインさえ考えれば完了」といった具合に、手早く終えられるものではないのです。にもかかわらず、いきなり「家づくり」という広いテーマについて話し合いを始めれば、無計画な意見のぶつけ合いが起こります。

意見を交換するとき、つい感情的に次々と話してしまう性格を自覚している夫婦であれば、話し合うまえにお互いに家づくりの要望を書き出しておくと良いでしょう。

「立地の希望」や「デザインの希望」など、家づくりの際に検討すべき項目をできる限り多く挙げたシートを作り、そこに各々の意見を書き込んでいくイメージです。

話し合いのまえにシートに要望を書き込んでおけば、意見交換の最中に感情に任せた討論に発展し、話の本筋がそれることを防げます。

場所ごとにそれぞれが決定権を持つ

夫婦2人が、すべての場所を均等に利用するケースばかりではありません。「キッチンは基本的に妻しか使わない」など、夫婦のどちらかしか使わない場所に関しては、よく利用する人が優先的に決定権を持つ方がスムーズに進行します。

この真逆となる「料理をしない夫がキッチンの設計を主導する」といったケースでは、家づくりの最中は妻側の我慢により問題なく進行したものの、実際に新居へ住むとキッチンの使い勝手が悪く妻に不満が溜まってしまい喧嘩に発展する……といった状況が起こり得ます。

また夫婦でそれぞれ予算を設定し、各自の予算からオプション費用へ割り当てる方法もおすすめです。たとえば、オプションに使える予算が200万円であれば、夫婦共有の予算を100万円として、個別に使える予算を夫・妻で各50万円ずつ設けるのです。

意見が食い違った場合には、それぞれ自分の持分となる予算をこだわりたい箇所に充てれば、喧嘩に発展する可能性を抑えられます。

設計士に「理想の暮らし」を伝えて逆算してもらう

夫婦間の話し合いでちょうど良い結論を出せない場合には、決められない箇所に関して「このような生活を目指している」と理想像を設計士に伝えて、理想を叶えるためにどこに落としどころを設けるべきか助言を求めるのも1つの手です。

夫婦間の意見交換では、つい熱くなってしまい冷静に物事を判断できなくなる場合もありますが、第三者であるプロを挟んで意見をもらうことで最適な案を見つけられる可能性があります。

まとめ

本来、家づくりは幸せな家庭を築くためのイベントですから、家づくりがきっかけとなり夫婦間の仲が損なわれては元も子もありません。それが離婚に発展するとなれば、なおさらです。

ただし、幸いなことに「すれ違いが生じやすいポイント」はある程度決まっているため、喧嘩に発展しやすい話題を事前に認知していれば対策方法はいくつもあります。

大きな喧嘩を起こさずに新築住宅を建てるための対策マニュアルとして、ぜひ本記事をブックマークして何度も目を通していただければ幸いです。