新築住宅の隠れた注意点!後悔しない理想的なコンセントの位置・数とは
新築住宅を建てるとき、コンセントはどう設計すべきか迷う要素の1つです。
日々、電化製品を活用する私たちにとって、コンセントの位置や数は過ごしやすさに直結します。そのため、できる限り後悔のないよう事前知識を持ってコンセントの配置を考えるべきでしょう。
ここでは利便性を損ねないために知っておきたい、コンセントを設置すべき位置や必要数について解説します。
おすすめのコンセントの位置・数
基本的には、2畳につき1個(2口以上)のコンセントが目安と考えられているため、これを基準としてライフスタイルに合わせた配置を検討しましょう。
家が建ってからコンセントを増やす場合、設計段階でコンセントを増やす場合よりも費用がかかります。あらかじめコンセントの適切な位置・十分な数を決めておくことで、後から余計な追加コストがかからないため、工事着工前にこそ時間を割いてコンセントの配置を考えるべきです。
ここでは家の各空間におけるコンセントの役割と、適切な位置・数の目安を解説します。
リビングは4~6か所以上にコンセントを設置
リビングはテレビやエアコン、空気清浄機など複数の大型家電を設置します。そのため、少なくとも4~6個以上のコンセントを設置することをおすすめします。
テレビやパソコンは周辺機器と接続する機会が多いため、テレビやパソコンに近いコンセントはテーブルタップを使ったタコ足配線になりがちです。タコ足配線は過電流を起こしやすく危険がともなうため、あらかじめコンセントの数を多めに設置しておくことが推奨されます。
リビングに設置されることが多い家電 |
テレビ、エアコン、空気清浄機、パソコン、無線ルーター、据え置きタイプの暖房器具など |
キッチンは6~8か所以上にコンセントを設置
キッチンも、リビングと並んでコンセントの必要数が多くなる場所です。冷蔵庫や電子レンジ、炊飯器や電気ケトルなどを利用すると考えれば、6~8個以上のコンセントを確保したいところです。
またキッチンでは水や油を使うため、それらが飛散してかからないよう火元やシンクから距離をとった位置が、キッチン周りのコンセントの設置場所として理想的です。
キッチンに設置されることが多い家電 |
冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、電気ケトル、トースター、食洗器、ミキサーなど |
洗面室・洗面台は2か所以上にコンセントを設置
洗面室・洗面台では、ドライヤーやひげ剃りなど、身だしなみを整えるために使用する家電が使われます。これらの家電は顔に近付けて使う場合が多いため、コンセントの位置も高めに設定することをおすすめします。
ただし、同時に家電を使用する機会は少ないため、少なくとも2か所以上にコンセントがあれば事足りる場合が多いでしょう。
洗面室・洗面台に設置されることが多い家電 |
ドライヤー、ひげ剃り、電動歯ブラシ、ヘアアイロンなど |
寝室・個室は4~6か所以上にコンセントを設置
部屋を1人で利用するか、2人以上で利用するかによって、寝室や個室の細かな用途やレイアウトは変わります。スマートフォンやパソコンを持ち込んだり、エアコンや空気清浄機などを設置したりすると想定すれば、リビングに近い数のコンセントが必要になるでしょう。
ベッドでは寝転んだ状態でスマートフォンやタブレットを触ると予想されるため、充電ケーブルの長さを加味して快適にデバイスと繋げられる位置・高さにコンセントを設置する意識が大切です。
寝室や個室は休日に長時間過ごす場所になると想定されるため、利便性を確保するために4~6か所以上にコンセントを設置したいところです。
寝室・個室に設置されることが多い家電 |
スマートフォンやタブレットの充電器、エアコン、空気清浄機、加湿器・除湿器など |
玄関は1~2か所以上にコンセントを設置
玄関はそれほど多くのコンセントを必要としません。
ただし「全く必要ない」というケースは少なく、玄関周りの掃除機がけや照明の設置など、用途に応じて1~2個以上のコンセントを用意すると便利な場面があります。このほかシューズボックスの匂い対策として、除湿乾燥機を設置する場合にも玄関部のコンセントは役立ちます。
掃除機がけや照明の設置を加味するならシューズボックスの上側に、除湿乾燥機を使用するならシューズボックスのなかにそれぞれコンセントがあると便利です。
玄関に設置されることが多い家電 |
掃除機、照明、除湿乾燥機、充電器、季節に応じた飾り物(電飾)など |
廊下・階段は1~2か所以上にコンセントを設置
廊下や階段は天井に照明が設置されている場合が多いため、コンセントが不要だと考える人も少なくありません。しかし、それぞれ少なくとも1~2個以上はコンセントを設置した方が無難です。
コード式の掃除機を使ったり、夜間に優しく足元を照らすフットライトを置いたり、意外な場面で「不要だと思っていたけれどあると便利だった」という声が挙がる部分なのです。省スペースを意識する場合は、フットライトを兼ねた自動点灯式の照明付きコンセントも候補に挙がります。
廊下・階段に設置されることが多い家電 |
掃除機、フットライトなど |
屋外は用途に合わせて多めにコンセントを設置
庭の手入れに使う芝刈り機や、自動車を洗浄するために高圧洗浄機を使う場合、屋外のコンセントが活躍します。また自宅でバーベキューをする際には、照明を付けたり音楽をかけたりして楽しむためにコンセントが要ることもしばしば。
いずれの用途であっても、自宅の窓を開いて延長コードを使えば解決しそうですが、開いた窓から砂ぼこりや虫が屋内に入る可能性があります。バーベキューの際に窓を開けば、室内が煙くさくなってしまうでしょう。
以上の理由から、屋外にも複数の場所にコンセントを設置することを推奨します。ただし位置や数に関しては、屋外でどのような道具を使うかによって左右されるため、そもそも芝刈り機や高圧洗浄機などの機器を使う可能性があるか考えてから、設置場所を検討してみてください。
屋外で使用されることが多い家電 |
芝刈り機、高圧洗浄機、電動自転車の充電器、イルミネーションなど |
コンセント増設費用の目安
コンセントの増設費用は、増設方法によって価格が変わります。ここではコンセント増設の方法を3つに分類して、それぞれの費用目安を紹介します。
分電盤から新しく配線を引く場合
分電盤から配線を引いてコンセントを増設する場合、かかる費用は約2~3万円が目安です。新しくコンセントのための専用線を引く工事となるため、消費電力の大きい家電の使用にも耐えられます。
既存のコンセントを分枝する場合
既存のコンセントを分枝させて、新たな場所にコンセントを増設する場合、かかる費用は約1~2万円が目安です。比較的、作業も短時間で終わり1時間前後で施工は完了しますが、こちらの増設方法では使用可能な電力が増えません。
差込口を増設する場合
コンセントの差込口を2口から4口・6口に増やす場合、既存の配線を利用するケースでは5,000円程度の費用で工事を行えます。ただし、使用電力が多くなる場合には分電盤から専用線を引く必要があるため、そのようなケースでは工事費用がより高くなります。
よくあるコンセント設置に関する失敗
ここでは、コンセントに関する主な失敗である以下を紹介します。
- 数を「ピッタリ」にして後から足りなくなる
- 家具の裏側にコンセントが隠れてしまう
- 屋外コンセントは盗電リスクがある
それぞれ、早く対処すれば避けられる場合もあるため、新築時にはぜひご確認ください。
数を「ピッタリ」にして後から足りなくなる
子どもが増えたりペットを飼ったりすれば、新たなライフスタイルに必要な家電が増えるため、新居の完成時点よりも必要となるコンセントは増えます。そうでなくても「知人の勧めでウォーターサーバーを導入することになった」などの理由により、当初の想定より多くの家電を設置することはよくあるものです。
美観の観点では余分なコンセントを増やしたくないものですが、目隠しの工夫を取り入れてでもコンセントはやや多めに設置することをおすすめします。
家具の裏側にコンセントが隠れてしまう
家具を設置した際のレイアウトを想像しておらず、とりあえずいくつもコンセントを設置したものの、その多くがインテリアに隠れて使えないケースは多々あります。
コンセントが隠れてしまうと使い勝手に支障があることはもちろん、目に付く機会が少ないためプラグを差したまま掃除を行わなくなり、プラグ周りにほこりが溜まった危険な状態を放置してしまう可能性があるのです。
新築住宅の完成前から家具の配置をイメージすることは難しいのですが、できる限り「ここに配置したコンセントはインテリアに隠れないか」を考慮してコンセントの配置を考えてみてください。
屋外コンセントは盗電リスクがある
屋外にコンセントを設置すれば、芝刈り機や高圧洗浄機などの機材を気軽に使用できますが、同時に盗電リスクが高まります。隣家が延長コードで電気を無断使用していたり、近所の子どもたちがゲーム機やスマートフォンを充電していたり、常識を疑うような盗電の事例は珍しくありません。
そのため、盗電への対策として「盗電防止カバー」の設置をおすすめします。盗電防止カバーはコンセント部分に被せて施錠できる製品で、工事をせず後付けできるものも多く、簡単に取り付けられます。
まとめ
多数の家電製品を活用する私たちにとって、コンセントの位置や数は生活の快適度に関わる大切な要素です。後から増設してコンセントの位置・数を調節することも可能ですが、新築時に必要数のコンセントを設置できればもっともコストを抑えられます。 必要な位置に十分な数のコンセントを設置し、無駄な出費を発生させないためにぜひ本記事を参考にしてください。