【注文住宅あるある】住んでみて分かった後悔ポイント7つ
注文住宅は自由に設計して建てられるだけに、依頼者の選択によって完成する家の満足度が大きく左右されます。そのため、設計段階では良いと考えてGOサインを出した選択肢が、あとあと後悔の要因になることも珍しくありません。
ここでは、注文住宅によくある「住んでみて分かった後悔」の代表例をご紹介します。
実際に住んで後悔しやすいポイント7つ
ここでは7つの観点から、満足度の高い家づくりに重要となるポイントをご紹介します。
部屋の間取り・広さ
部屋の間取りや広さは、居住空間の快適度と密接に関係しています。
単に「間取りが多い」「部屋が広い」という状態を良しとするのではなく、朝起きてから寝るまでの行動を書き起こして、生活導線を考慮した間取り・広さを導き出す意識が求められます。また部屋が広くなるほど、冷暖房設備の効果が効きづらい点にも留意が必要でしょう。
「リビングの広さを控え目にしたため手狭な印象となった」
「家具・家電を設置すると、イメージよりも圧迫感があった」
「通勤・通学準備のために部屋を行ったり来たりする必要がある」
「部屋を広くしすぎたため冷暖房設備を二台稼働させることになった」
とくに間取りに関しては多くの後悔ポイントが挙がるため、上記はほんの一部です。ライフスタイルは人それぞれであるため、間取りの理想形に明確な基準はありませんが、部屋の広さを考えるときには以下の視点が重要になるでしょう。
- 生活時間の大半を過ごす場所には十分な広さがあるか
- 各部屋に置く家具・家電をできる限りイメージできているか
- 朝の準備をスムーズに進められるような導線を意識できているか
- 家族同士がよくすれ違う場所に、ぶつからない程度の横幅があるか
収納部分
家づくりを行うとき、すでにマイホームを購入している人から「収納部分はよく考えた方が良い」とアドバイスをもらうものです。ただし、あらかじめ収納部分は入念に検討すべきと理解しつつも、いざ住んでみると不満点が出ることは珍しくありません。
「収納場所の位置が高く使いづらい」
「奥行が広く、収納物に手が届かない」
「奥行が浅く、収納したいものが入らない」
上記のような不満が後悔につながるため、単に収納容量を大きくしたり収納箇所を増やしたりするだけではなく、以下のような細かな配慮も大切です。
- 収納スペースは坪数ではなく、幅・奥行・高さを「cm」で測る
- 収納物の大きさに対して、収納スペースの幅・奥行・高さは十分か
- 高頻度で出し入れする収納物をしまう場所は足りているのか
- 居住者全員にとって使い勝手の良い収納部になっているか
声・足音・生活音などと部屋の位置関係
話し声や足音、家電の駆動音、キッチンやトイレの排水音など、屋内外にはあらゆる音の発生源があります。これらの位置関係を把握できておらず、実際に住んでから以下のような後悔ポイントが顕在化するケースは珍しくありません。
「就寝時に屋外の騒音に悩まされた」
「1階で過ごしているとき2階の足音が響く」
「リビングまで洗濯機の駆動音が届いてうるさい」
声・足音・生活音に悩まされることを減らすため、家づくりの際にチェックしたい項目はつぎの通りです。
- 寝室やリビングが交通量の多い道路側に位置していないか
- 寝室やリビングと、洗濯機・トイレなど音の出る設備を離して配置できているか
- 1階にある寝室やリビングの真上(2階)が、移動の多い通路となっていないか
コンセントの数と位置
いまや多くの家庭がテレビ・洗濯機・冷蔵庫・スマートフォン・パソコンなど、コンセントによる給電を必要とする機器を活用しています。そのため長い時間を過ごす部屋や、家電を多く設置する部屋の快適度はコンセントの数・位置に左右されるのです。
しかしコンセントの数が不十分であったり、家電の設置場所とコンセントが離れていたり、コンセントを挿したコードがドアの開閉を邪魔したり、コンセント関連の設計に失敗してしまうケースは少なくありません。結果として以下のような不満を抱くことになります。
「ここにもコンセントがあれば良かったのに」
「一応コンセントにつなげるけれど、長いケーブルを床に這わせることになり見栄えが悪い」
コンセントの数と位置で失敗しないよう、以下のポイントを意識した家づくりが理想です。
- 家具・家電の設置場所を想定して、コンセントの数・位置を考えたか
- 掃除機を使うとき、抜き差しを最小限にできるコンセントの配置になっているか
- コンセントが設置されている高さは、その場所で使う家具・家電に応じた高さか
屋内外の視線
家のなかは、もっともプライベートに配慮された空間でなければなりませんが、間取りや開口部(窓やドアなど内外をつなぐ部分)の設計によっては視線が気になる部屋となってしまいます。
たとえば、玄関から直進した場所にリビングや寝室のドアがあると、ドアを閉めていない場合に玄関口からリビングや寝室内の様子が見えてしまうのです。ほかにも、リビングへの採光に配慮して大きく設計した窓が、屋外からリビング内がハッキリ見えてしまう原因となることもあるでしょう。
「来客時にプライベート空間を隠すのが大変」
「大きな窓が屋外から視線を向けられる原因になり落ち着けない」
このような不満が発生しないよう、つぎのようなポイントを確認しておきましょう。
- 来客時に開くドアは、ドアを開いた先が壁になるよう設計する
- 窓の位置は、できる限り隣家の窓と向かい合わせにしないよう設計する
- すりガラス調フィルムなど、視線が気になる大窓には目隠しフィルムを張る
時間帯・季節により変わる部屋の明るさ
窓の大きさや位置が変われば、部屋への光の入り方も大きく変わります。時間帯や季節によって日照条件は変動するため、設計士とよく相談して設計を進めるべきです。
「長時間過ごす部屋が日中でも暗い」
「採光を優先させた結果、屋外の視線が気になる」
上記のような問題を避けるため、つぎのポイントを入念にチェックしておいてください。
- 設計士に、どの時刻にどの窓から日光が入るのか尋ねる
- 日中でも暗い部屋の位置を確認し、問題ないか検討する
- 採光を優先したいが視線を遮りたい箇所には、スリット窓導入を検討する
車庫の広さ
生活必需品として自動車を所有している場合、車庫の広さは室内の間取りと同様に重要な要素だといえます。月に数回、趣味のドライブに出かけるとき多少の不便を感じる状況と、毎日ある送迎や出勤のための運転時に不便を感じる状況では、問題の深刻度はまったくの別物です。
「自動車を買い替えるとき、車庫の狭さがネックとなって諦めた」
「ピッタリ中央に駐車しなければ、ドア開閉の余裕がなく乗り降りが難しい」
「車庫の奥行が短いために、トランクを開閉するたびに自動車の前進が必要になり面倒」
車庫の設計に失敗すると、上記のような後悔を抱えることになります。
また、家づくりの直後には十分な広さに思えた車庫であっても、家族の介護・ケガなどにより車イスでの乗り降りが必要となった際、スペースがなく自動車への昇降が困難となる可能性もあるでしょう。そのため、以下のようなポイントに留意しつつ車庫を設計することをおすすめします。
- 将来予想される自動車の乗り換え、買い増しを考慮できているか
- 介護・ケガを想定したとき、余裕を持った乗り降りが可能か
家づくりでよくあるお金の後悔3つ
ここからは家の設計ではなく、家づくりにまつわる金銭的な失敗例をご紹介します。
希望を盛り込みすぎて予算オーバー
家づくりは、満足度を追求すると際限なく費用が膨らむ買い物の1つです。「せっかくならよりハイグレードな選択肢を」と考えて設備グレードを上げたり、おすすめされるまま必要性の乏しいオプションを増やしてしまったり、当初の予定にはなかった出費が重なるケースは珍しくありません。
また、家づくりにかかる費用は建物代だけではなく、土地にかかる支出や税金も発生します。家づくり全体にかかる費用の計算、それにともなう予算設定の作業は面倒に感じられるものですが、大きなお金が動くライフイベントですから事前準備にこそ十分な時間を割くべきです。
予算を抑えすぎて満足度の低い住宅に
大幅な予算オーバーも悲惨ですが、予算を抑えすぎて満足度の低い住宅が出来上がる状況も悲惨です。
「もう少し資金を貯めてから家づくりを始めれば良かった」
「毎日、生活のなかで『もっとこうしておけば』と後悔する」
「他人の家と比較されたくないから、気軽に人を呼べない」
上記のような不満を抱える可能性があります。とくに、あとから変更することが難しい場所は後悔してもリカバリーが効きづらいため、優先順位にメリハリをつけて住宅設計と向き合うことをおすすめします。
シビアな返済計画のもと借入を行った
多くの場合、家づくりにかかる費用を住宅ローンによって補いますが、返済計画は慎重に立てるべきです。
ひと昔前までは、勤続年数に比例して給与は増えるものであり、勤務先の倒産やリストラも可能性は高くありませんでした。しかし、現在では年功序列の風潮が弱まりつつあり、さらに企業の倒産や経営難も珍しくなくなっています。
そのため、安易な見立てで背伸びをした返済計画を立てると、将来的に毎月の返済が多大な負担となる懸念があるのです。経済情勢を抜きにして、単純に転職によって給与やボーナスが減る可能性もあり得ます。以上の理由から、ある程度余裕を持った条件で住宅ローンを組むようおすすめします。
まとめ
何事も初めて挑戦することを、自分だけで解決しようとすれば失敗に終わります。とくに家づくりは大きなお金が動くライフイベントであり、簡単にやり直しができるものではないため、ネット上のアドバイスや友人の体験談などを参考に「よくある後悔」を避けながら進めることをおすすめします。