意外と知らない!?自然素材の家ってどうなの?
理想のマイホームを注文住宅で建てる場合、自然素材にこだわった家づくりをしたいと考えている人も多いと思います。そこで、一般的、常識的な家づくりと自然素材を使った家づくりとの違いについて明確な基準を把握されている方はどのくらいいるでしょうか。?
おそらく大抵の方は漠然としたイメージでとらえていると思います。
自然素材で建てた家のメリットは、やはり化学物質を含まないため安心ということが第一に挙げられます。化学物質はアレルギー性疾患を引き起こすことがあり、シックハウス症候群の原因になることもあります。
シックハウス症候群とは
建材から発生する化学物質によって健康被害が生じることをいいます。その症状は様々ですが、頭痛や吐き気がしたり目がチカチカするといった症状を訴える人が多いです。湿疹が出たり、くしゃみや鼻水が出たりすることもあります。
シックハウス症候群は個人差が大きく、同じ環境でも全く症状が出ない人もいれば日常生活に支障をきたすほど深刻な症状に悩まされる人もいます。アレルギー体質の方であれば、化学物質が含まれていない自然素材の方が安心できます。
自然素材には様々なメリットがあり、近年自然素材を取り入れた家づくりを行っているメーカーも色々あります。ただし、デメリットがないわけではないので、注文住宅を建築する際にはメリットとデメリットをきちんと把握した上でプランを立てる必要があります。
実際に自然素材を売りにした住宅会社の営業担当でありながら浅い知識の状態で販売しているという事実もあるようです。
そこで今回は自然素材を使った家とは一般の住宅と何が違うのかをご説明いたします。
そもそも自然素材にはどのようなものがあるのでしょうか。一口に自然素材といっても、明確に定義されているわけではありません。化学物質を含まない天然の素材を言うことが多いです。具体的に挙げると、無垢材や漆喰、珪藻土などがあります。それから和紙や布などを使った壁紙も自然素材になります。
自然素材の家とは「これ」という明確な指標はありませんが、使用する建築資材全般において化学物質が含まれていない天然の資材を使用して建てられた家を自然素材の家といいます。
例えば珪藻土・漆喰などの壁材や無垢材・コルク材などの床材を使用した家です。
珪藻土
珪藻土とは珪藻(プランクトン)の化石を原料にして作られた素材です。特徴としては調湿性が高いということがあげられ湿度を調節するという特徴があるので壁材に使用することで快適な室内湿度を1年中保つことができます。
湿度が高い梅雨や夏の時期には湿気を吸ってくれるので、カビが生えにくかったりダニが繁殖しにくい環境にすることができます。ニオイを吸着する効果もあるので、脱臭効果もあるとして人気です。
また珪藻土には小さな穴が空いており音を吸収するので、楽器を弾くご家庭にも選ばれています。
デメリットとしては吸収力が高い為、色の濃いものがついてしまった場合シミになりやすく取れにくい点や土でできている為、触ったり擦ったりすると粉が剥がれ落ちてしまいます。
シミの場合はできるだけ早めに布や雑巾でなどで拭き取るか漂白剤を付けシミの部分を軽くたたきながら汚れを落とすことをおすすめいたします。
漆喰
漆喰は石灰(水酸化カルシウム)を原料としておりこれにワラや麻などを混ぜ、さらに糊を混ぜて左官用の壁材として利用します。漆喰は呼吸する壁と言われています。二酸化炭素を吸収し、ゆっくりと年月をかけて固まっていきます。
日本古来の家の壁として長年利用されており昔は武家屋敷や城壁などに使われていました。耐熱温度が比較的高いので、防火・耐火要素もあります。また撥水性能にも優れており、雨・雪にも強く耐久年数も長いという特徴があります。
見た目の美しさも人気の理由で、施工した壁面に若干の凹凸があることで光の取り込みと反射により白く美しく輝いて見えます。
また仕上がりには施工職人による差が大きく出ます。熟練の漆喰専門の職人に依頼するのがよいでしょう。
デメリットとしては施工から時間が経ったものはひび割れの可能性があることです。また施工には専門の施工者が必要であったり、作業に手間がかかるため工数や費用負担もかかります。
他にも塗り立ての漆喰は表面がまだ脆く粉が落ちやすい状態ですので衣類などに付着する恐れがあり注意が必要です。
無垢材
注文住宅を作る際に欠かせないのは木材ですが、自然の木を使っているからといって木材全てが自然素材というわけではありません。木材のうち無垢材は、原木からそのまま切り出した自然のままの状態の木材のことをいいます。
木材には集成材と呼ばれるものもあり、これは薄くした木版を接着剤で張り合わせてブロック状に加工したものになります。
自然素材の無垢材を使うメリットは、木そのものの温もりが感じられることです。木の断面がそのまま見えるので、一つ一つ風合いが異なります。
均質化された集成材とは異なるナチュラルな趣があります。時が経つにつれて風合いが増すので、長く住んでいるうちに愛着が深まることも多いです。
集成材はカットした木材を接着剤などで張り合わせたもので、見た目も無垢材と区別がつかないクオリティのものも多くみられます。
しかし無垢材との大きな違いは山や森で育った原木を使用した天然の無垢材は伐採されても呼吸をし続けており、空気が乾燥すると内部に蓄えた水分を空気中に放出し、湿度が高くなると湿気を吸収するという特性があります。また耐久性があるとともに断熱性も高く省エネにも役立ちます。
一方、集成材は違う木材を合体させている為、接着剤によるアレルギー反応を引き起こす原因とも言われております。また木、本来の耐久ではなく接着剤でつなぎ合わせている為、老朽化など耐久性に劣ります。ただ業者側から見ると加工して製作している為、寸法も取りやすく無駄が少ないという事で取り扱いが非常に便利となっております。
人気の無垢材
無垢材の種類にもいくつかあります。フローリングなどで使用し硬く丈夫なオーク材(ナラの木)は木目もキレイで重厚感があり人気があります。キズに強く耐久性に優れており硬いわりには加工もしやすいので家の建材意外にも家具などにも多く使用されています。
ほどよい硬さと粘りがあり、褐色に深みのあるウォールナットは昔から家具作りの木材として利用されてきました。焦げ茶色の濃く落ち着いた重厚感のある木肌の風合いは和洋や床などの内装を選びません。ウォールナットは使えば使うほど味わいが増し、木目の色の変化などにより高級感や愛着感がわくという事で人気があります。
日本を代表する高級木材としてご存じヒノキも人気があります。最も代表的な特徴はあの特有な香りです。木造建築で世界最古といわれる法隆寺にも使用されている木材で、耐水性・耐久性・強度においていずれもスギの木よりも優れています。
家具やフローリングなどにも多く使用され、肌触りや木目、ツヤや色合いが経年変化するのも魅力の一つです。
無垢材のデメリット
無垢材にはいくつかデメリットがあります。まず、加工されている集成材に比べると傷がつきやすいのが特徴です。木の種類にもよりますが、柔らかい木を使っている場合にはちょっと衝撃が加わっただけで傷がついてしまったり凹みができてしまったりします。小さいお子さんがいるご家庭やペットを飼っているご家庭の場合には、傷が多くなるかもしれません。また、無垢材には経年劣化しやすいというデメリットもあります。
乾燥によるひび割れが起きたり、変色したりすることが考えられます。それが風合いが増すということにもつながるので一概にデメリットとはいえませんが、不具合が生じた時にはメンテナンスを行う必要があります。
また、無垢材は調湿に優れているため湿気を含んで膨張したり反対に放湿により縮んだりする為、フローリング材などに使用した場合、反りかえったり隙間ができたりする場合もあります。また水には弱く床にこぼしてしまったものはシミになりやすいといわれております。
対策方法は多岐にわたりますが防水の施工方法や防水剤塗布などの対策がありますので施工前に事前に確認しておきましょう。
それから集成材に比べると無垢材の方が値段が高く、コストが膨らみがちです。できるだけ安く家を建てたいという時には、目立つ部分だけ無垢材を使ってあまり目立たないところには集成材を使うといった工夫もできます。
このように、多少デメリットもありますが、時間が経過するにつれ風合いや愛着が増すメリットや森の中にいるような木の香りによるリラックス効果は暮らす人の精神衛生に与える影響は大きいものといえると思います。
和紙や布などを使った壁紙
シックハウス対策として注目されている素材です。壁紙は室内の大部分を占めているので、非常に重要な要素になります。和紙や布などを使った壁紙は質感が良く、デザイン性にも優れています。和紙には調湿性もあるので、湿度をコントロールしてくれます。和の風情が感じられる落ち着いた雰囲気の家にしたいという時にもぴったりです。デメリットとしては施工が難しいことが挙げられ、仕上がり具合は職人の腕にかかっています。技術が未熟だと、綺麗な仕上がりにならないこともあります。
本記事で紹介したポイントに注意をしながら最適な広さと最適な素材で失敗しない自然素材にこだわった家づくりをご検討ください。