開放感が生まれる勾配天井とは?空間にはどんなメリットがあるの?

最近では、巣ごもり需要も増加傾向にある中、在宅する機会が以前よりも増えている方も多いのではないでしょうか。

在宅時間が長くなると、自宅内では屋外と違ってどうしても閉塞感が拭えないことから欝々とした気分になってしまいがちです。そうならないためにも、自宅内の空間を開放感あふれるものにすることは極めて重要なポイントであると言えます。

本記事では、自宅内を開放感が生まれる空間にするためにはどのようにすべきなのかについて詳しくご説明したいと思います。

開放感がある空間とは

「開放感がある空間」と表現すると、抽象的なイメージとなってしまって具体的なイメージは付きにくいかもしれません。

住宅において、開放感を強く感じ取るための条件として挙げられる項目として真っ先に思い浮かぶのは、そもそもの広さが確保されていることではないでしょうか。住宅が大きく広ければ、それは開放感があると断言できるのでしょう。しかし、土地の面積や建物の大きさに起因して、空間を無限に広く作り続けることはできません。どうしても、部屋の数や大きさなどによって設定できる広さには制限がありますので、1部屋を広く設けることによって開放感を創出することは困難であると言えます。

上述したような制限がある中で開放感を最大限に創出する簡単な手法としては、間仕切りをなくしてしまって1つの空間としてしまうことです。子供部屋・浴室・トイレなどの空間も必要となりますので、家中のすべての部屋を1つとしてしまって開放感を持たせることは不可能です。そこで、思想としてはポイントを絞ってどのような開放感を創出させるのかということに検討を絞ることになります。候補として挙げやすいのは、家族団らんの場としてたくさん利用することが想定されるリビングを選択すると良いでしょう。リビングダイニングキッチンを各々の空間として創出するのではなく、すべてをつなげてしまって一体的な整備とすることによって空間を非常に広く構築することができます。キッチン及びリビングをつなげて、アイランドキッチン及びカウンターキッチンを採用することによって、そこに集まっている家族全員の動向を把握しながら料理などの動作をつなげることができます。

それだけに留まらず、廊下及び階段等の設置場所を検討することによって、空間そのものをさえぎってしまう壁を撤去してしまい、さらに広大な空間創出することができます。間取りを検討する際には、部屋を仕切るための壁をどのようにすれば最小限に留めることができるのかについて検討し、開放的な空間を創出することができます。

勾配天井とは

平面的な空間を広くするための思想は上述したとおりです。しかし、平面的に広大な空間が創出できたとしても、3次元方向である高さが低くなってしまうと閉塞感が出てしまうことになります。そうなってしまっては、せっかく広々とした空間も台無しとなってしまうのです。そこで重要となって来るのが天井です。天井を工夫することによって、平面的に広さを確保できた空間をさらに開放的にすることができるでしょう。

そこで採用をおすすめするのが、勾配天井です。勾配天井とは、言葉のとおり屋根に対して勾配が確保されている天井のことを指しています。勾配とは、斜めに傾いている状態を指します。勾配は「%」などで表記されることが多く、10%の勾配とは1mに対して10cm分の傾斜が付いていることを示しています。

戸建て住宅においても、勾配天井は採用されていることが多く様々な面でメリットがあります。また、勾配天井と一般的に平坦な天井と比較すると、見た目や印象が大きく異なることも特徴的です。

ここからは、勾配天井における特徴をご説明したいと思います。

メリット

勾配天井の最大のメリットは、同一空間において天井における高低差を確保できることです。天井が斜めになっていますので、同一室内においても高低差が低い場所と高い場所が混同している空間となります。そのことによって、空間そのものの広がりを効果的に演出することができるのです。一体的となっている広大な空間においても、勾配天井を採用することによって心理的効果が異なって来ます。具体的には、天井が低い場所においては落ち着いた雰囲気を演出することができ、天井が高い場所においては開放感を演出することができるのです。構成としては、吹抜けと同時に組み合わせるケースが多くなっており、風通りや光を取り入れるための計画に最適であると言えるでしょう。壁及び天井を白い空間とすることによって、視覚的及び心理的に立体的な把握が困難となる傾向にあります。その効果を利用して、壁と比較すると天井部分に明るい色のクロスを採用して、壁の一面を濃い色にする手法を採用しているアクセントウォールを取り入れたり、天井部分をあえて板張りにすることによって斜めラインを強調し空間把握ができやすくなりますので、より一層広く開放的に感じることができます。

なお、都市部においては北側斜線制限が設けられている地域もあります。北側斜線制限とは、日照権の観点から規制が採用されています。北側の住宅に照射する日当たりを考慮し、南から差し込む日の光を確保することを目的とし、建物の高さを一定以上高くすることができないように制限をかけているのです。その規制を遵守することによって、北側における隣地境界線上に一定の高さを確保して、そこを起点として一定勾配で明示される線を北側斜線と称しており、その範囲内を遵守する形で建物を建造しなければならないのです。一定以上の高さを制限されていることから、三次元的な方向である高さを設けることができない地域においては、開放感を適切に得ることができる勾配天井は最適であると言えるでしょう。

また、住宅内においてのメリットは上述したとおりですが住宅外においてもメリットがあります。平坦であるフラット天井であれば雨水などは屋根の部分に滞水してしまう恐れがあります。屋根が経年劣化などにおいて損傷してくると、滞水してしまった雨水などは住宅内へと侵入して、柱などの主部材を腐食させてしまって住宅に重大な被害をもたらせてしまうことも想定できます。その点、勾配住宅であれば屋根に勾配が確保されていますので、雨水の滞水は起こりにくいと言えるでしょう。そのため、適切な雨水排水が確保できると言えます。

デメリット

勾配天井とするメリットは上述したように様々ですが、デメリットも存在します。

勾配天井を採用することによって、開放的な空間を創出することができますが高さが高くなってしまうため、掃除がしにくいということです。人の手では届かないくらいの高さを確保してしまいますので、掃除道具などを配慮しなければなりません。また、フラットな天井と比べると、勾配天井の方が設置する手間がかかるため、どうしても初期費用が高くついてしまいます。手間もそうですが、斜めにすることによって壁の面積が増加することも初期費用が高くなってしまう理由の1つです。

まとめ

ここまで、自宅内を開放感が生まれる空間にするためにはどのようにすべきなのかについてご説明をさせていただきました。

これから戸建て住宅を購入される方にとって、少しでも本記事がお役に立てたのであれば幸いです。