物置や駐車スペースを増築しよう!増築時の建築確認申請について徹底解説!

みなさんは、ご自宅の物置や駐車スペースに満足していますか。

家族が増えたり子供が大きくなったりすることによって、既存の物置や駐車スペースが手狭になってしまって困ったりする方も多いのではないでしょうか。

ここでは、物置や駐車スペースの設置及び増築した際の建築確認申請についてご説明したいと思います。


建築確認申請とは

建築確認申請とは、どのようなものなのでしょうか。

そもそも建築確認とは、住宅を建設する工事を行う前において建物及び地盤について、建築基準法に合致していることを確認するための申請を指しています。具体的には、建築基準法に当てはめて、建ぺい率・容積率・北側斜線規制などの遵守・シックハウス対策の有無・居室の採光基準などが確保されているかなどが確認されます。なお、2020年以降は環境対策の観点から省エネ基準が満足しているかどうかも確認されるようになりました。

2階建てや平屋における一般的な住宅耐震性は、設計事務所及び施工会社が構造計算・耐震計算を算出して確認するのですが、建築確認申請として申請する必要はありません。これは、建築確認の概念が住宅の耐震性を保証しているものではないからなのです。

建築確認を実際に行うのは、地方自治体及び地方自治体より指定を受けている民間検査機関である指定確認検査機関が実施します。

建築確認を申し込む手続きのことを建築確認申請と呼称しており、建築確認をしてもらうときに必要な書類が建築確認申請書と呼ばれているのです。申請そのものは、設計事務所及び施工会社が行いますので、オーナーの立ち位置として何か特別なことをしなければならないという訳ではありませんので、ご安心ください。

建築確認が行われる回数は、全部で2回となっています。1回目は住宅工事の着工前となっています。1回目の確認は、書類をメインとして行われますので机上での確認検査となります。住宅工事が竣工して実際に家が建てられると、当初申請した書類内容と差異がないことを確認します。確認方法は、担当者が実際に現地に赴いて2回目の確認を行います。なお、これを完了審査と呼んでいます。また、3階建て以上といった各自治体において定めている建築物については、住宅工事を実施している最中においても担当者が現地で確認します。これを、中間検査と呼んでいます。

物置増設時の建築確認申請について

建築確認申請とは、上述したとおりです。

それでは、物置を増設する場合において建築確認新設は必要となるのでしょうか。

まず、物置の概念はどこにあるのでしょうか。ポイントは、物置が建築物に該当するかどうかです。建築物の定義は、

  • 建築基準法法第2条一号 建築物

土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。

とあります。この土地に定着するというところがポイントです。物置を設置するにあたって、基礎などを設置せずに土地の上に無造作に置いてある場合がほとんどではないでしょうか。建築基準法の表面だけを確認していると、物置は建築物に該当しないと思ってしまいがちですが、国土交通省の見解は次のとおりです。

  • コンテナを倉庫として設置し、継続的に使用する例等が見受けられますが、このような随時かつ任意に移動できないコンテナは、その形態及び使用の実態から建築基準法第2条第1号に規定する建築物に該当します。

このように、物置は建築物として該当します。

よって、防火地域、準防火地域内の10㎡以下の設置及び増築の建築物については建築確認申請は不要となっていますので、小規模な物置の増築では提出の必要はありません。

逆に、防火地域、準防火地域以外で10㎡を超える建築物の設置及び増築については建築確認申請が必要となります。

ただし、どちらの規模についても建築基準法には合致させなければいけませんのでご注意願います。

駐車スペース増設時の建築確認申請について

カーポートやガレージといった駐車スペースの設置及び増築する際には、建築基準法や都市計画法などの基準によって、建築確認申請が必要となるパターンがあります。これらの法に違反してしまうと重い罰則を課されてしまうこともありますので注意が必要です。

建築物を設置するときには、建築基準法及び都市計画法に則り「申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない」ということが明文化されています。建築確認申請が必要となる条件については、「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱、もしくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む)」と定義づけられています。

カーポートやガレージといった駐車スペースは、土地に定着して屋根と柱を有する構造となっていますので、原則的に建築物として取り扱われてしまいます。

しかし、床面積が10平方メートルに満たず、防火地域および準防火地域ではない地域に建築物を設置及び増築する場合などにおいては、申請が不要とされるケースもあります。カーポートやガレージといった駐車スペースを設置する際は、これらの条件をきちんと認識して、申請が必要となるのかどうかを適切に判断しなければならないのです。もし、自分が住居を構えている地域が防火地域や準防火地域であるかどうかが不明である場合においては、役所やインターネットを利用して調査することができます。自分で調査することはハードルが高いと感じられる方は、建築士といった専門家に依頼することもできますのでご利用を検討されてみてはいかがでしょうか。

また、最近ではDIYが非常に流行っています。DIYが得意だからといって、建築確認申請を行わずにカーポートなどを設置しようと考える人も多いのではないでしょうか。しかし、建築確認申請の過程を経ずに駐車スペースを設置及び増設したことが行政にバレてしまうと、法に則って罰則を受けることとなり駐車スペースを移動もしくは撤去をしなければならなくなってしまうのです。ばれなければ良いといった安易な考えや建築確認申請の手続きが煩雑で面倒だからといった理由で事務手続きを怠ってしまうと、将来的に痛い目を見ることになってしまうのです。建築確認申請を怠ることは違法行為となりますので、厳に慎むようにしてください。

まとめ

ここまで、物置や駐車スペースの設置及び増築した際の建築確認申請についてご説明をさせて頂きました。

建築確認申請の事務フローは、簡単に示すと次のとおりとなっています。

  1. 建築確認を申し込む
  2. 自治体などが書類で確認
  3. 建築確認済証の交付
  4. 工事着工(完成まで)
  5. 完了審査の申請
  6. 完了審査・検査済証の交付

建築確認申請では、様々な事務手続きを踏まなければならないため非常に面倒であると感じる方も多いでしょう。しかし、法律で定められていることですので適切に処理していただきたいと思います。

これから物置や駐車スペースの設置及び増築を検討される方にとって、少しでもこの記事がお役に立てたのであれば幸いです。