夫婦の老後生活に備える!シニア世代に適した戸建ての条件や設計とは

「老後の夫婦生活を快適に送れる戸建て」を実現するためには、どのような条件を意識すべきでしょうか。

  • 広さ
  • 階数
  • 立地
  • 費用

パッと思い浮かぶだけでも、考えることは無数にあるように思えます。

そこで、ここでは老後も見据えた長く快適に住める戸建てをつくるため、家の条件や設計をどのように考えるべきかご説明します。住まいについての計画は、人生でもとくに大きなライフイベントであり「決まった正解」がない領域ではありますが、考え方の一例として参考にしていただければ幸いです。




老後の夫婦生活に最適な戸建ての条件


老後生活を迎えるにあたり、理想的な戸建てを用意するためには、いくつかの優先事項を決めておくことをおすすめします。シニア世代の場合「これを優先すべきだ」と感じることは、以下のような条件になることが多いでしょう。

  • 移動の利便性
  • 階段など室内の段差
  • 子どもと同居する可能性
  • かかりつけ医・病院までの距離

もちろん、上記だけでなくセキュリティや治安などほかに意識すべき要素もありますが、ここではあくまで「老後の生活をどう快適に過ごすか」という観点で意識したいポイントを挙げます。


移動の利便性


シニア世代に突入したばかりの時期は、自動車や自動二輪を使った移動も現実的ですが、昨今では一定の年齢を超えると免許証を返納するようなケースが増えてきました。

これにならって将来的に免許証の返納を考えているのであれば、自動車や自動二輪を使わなくても日用品や食材の買い物に不便しないように、移動の利便性について考える必要があります。



たとえば、商業施設が徒歩圏内にある場所、利便性に優れたバス停が近い場所はその代表例です。

階段など室内の段差


健康に気を使っていても、年齢とともに足腰への負担は大きくなるため、家のなかはできる限り段差の少ないバリアフリーな環境が理想的です。幸い、戸建ては室内のデザインの自由度が高いため、設計段階で可能な限り段差のない家づくりを行うことも可能です。

室内の凹凸が大怪我につながらないよう、段差のない家づくりの検討を推奨します。また、1階と2階を頻繁に行き来しなければならない構造より、1階か2階のどちらかで生活の大部分が完結するような造りの方が、老後生活の負担は少ないでしょう。

子どもと同居する可能性


戸建てにありがちな問題が、子どもの自立とともに部屋が余ってしまうことです。老後の夫婦生活を迎えたとき、子どもと同居するか否かハッキリと予想することは難しいのですが、戸建ての設計時に子どもを含めて「一緒に住む可能性はありそうか」を話し合うだけでも、必要な要素・不要な要素の整理がはかどります。

すでに子どもが社会人であれば、建設的な話ができるはずです。「どちらかといえば同居の可能性が低い」と判断できるなら、ミニマムな設計にした方が失敗は避けられますし、逆の判断をするなら多少余裕のある設計が好ましいと考えられます。

かかりつけ医・病院までの距離


シニア世代になると、どうしても健康の問題が付きまといます。すでに持病がある場合は、その病状を専門とする病院までの距離が近いほど安心して生活できます。

また、昨今では経営的に苦しい医療機関も珍しくないため、規模縮小や撤退を見越して近場にいくつか病院がある場所を検討することも1つの手でしょう。

老後の夫婦生活を戸建てで送るメリット


老後の夫婦生活を見据えた家は、基本的に「生涯住む家」であるため慎重になるものです。現状、「戸建てが良い」とお考えとは思いますが、老後生活における戸建てのメリットとデメリットを再確認し、老後を過ごす住まいに戸建てが理想的かどうか確認していきましょう。

  • 設計の自由度が高い
  • 自由にリフォームできる
  • 犬や猫などのペットを飼える
  • 近隣トラブルが起こりづらい

なお、上記のような戸建てのメリットは、持ち家として戸建てに住む場合を想定しています。賃貸の戸建てにも「住み替えが容易」や「住宅にかかる税金がない」といったメリットはありますが、これらは賃貸物件全般における利点であり戸建てであることとは関係性が薄いため、ここでは持ち家の戸建てを想定してご説明します。

設計の自由度が高い


持ち家として戸建てを建てる場合、予算に左右されるものの設計の自由度は比較的高めです。そのため、子どもの成長や自立を見越して間取りを設計したり、老後生活を見越してバリアフリーを積極的に取り入れたり、発想次第で理想に近い家づくりができます。

自由にリフォームできる


事前の構想では理想的だった家も、ライフスタイルの変化によって不満が出てくることはあります。そのようなとき、マンションや賃貸の戸建てであれば家具の位置を変えるなど限定的な対応しかできませんが、持ち家の戸建てであれば大がかりなリフォームも可能です。

犬や猫などのペットを飼える


持ち家の戸建てであれば、室内外の空間にゆとりがあるため無理なくペットを飼えます。一緒に庭で遊んだり、走っている様子を眺めたりできる点は、マンションにはない利点です。

賃貸の戸建てのなかにも「ペット相談可」とする物件はありますが、築浅でありつつペット込みで入居できる家を探すとなると選択肢は狭まります。

近隣トラブルが起こりづらい


戸建ては左右に別世帯が密接している状態ではないため、物音や声が響きづらく騒音トラブルに発展しづらい傾向にあります。また、自宅の敷地内に駐車場がある場合は車のトラブルも起こりづらく、集合住宅にありがちな共有部分の使い方のトラブルもありません。

マンションやアパートに住む場合、隣人との距離が近く、当然ながら隣人を選ぶこともできませんから、そもそも別世帯と密接しない戸建てはトラブルを避けやすいのです。

老後の夫婦生活を戸建てで送るデメリット

老後の夫婦生活を戸建てで過ごすことには、メリットだけではなくいくつかのデメリットもあります。

  • 駅近くに住むことが難しい
  • 定期的に修繕費用が発生する
  • まとまった資金やローンが必要
  • 気軽に住み替えできない
  • 住宅にかかる税金が発生する

ここでも、持ち家の戸建てを前提として説明を進めていきます。

駅近くに住むことが難しい


駅近くは比較的土地の価格が高く、基本的にはマンションや商業施設が建てられるため、街の中心となる駅近くに戸建てを建てることは難しいでしょう。

シニア世代になると移動にかかる負担は大きくなりますから、駅から離れた位置に居住することで電車や新幹線までの移動距離が長くなりやすい点はデメリットです。ただし、戸建てであっても近場に商業施設やバス停があるなら、駅から離れていることは深刻なデメリットではありません。

駅までの距離が徒歩数分以内であることが必須条件でない限り、戸建てを住まいの選択肢から外す必要はないでしょう。

工事の手配や工事費の負担を自ら行う


持ち家の戸建ては、マンションやアパートのように大家が修繕やリフォームを手配するわけではないため、すべて自身で工事を手配しなければなりません。また、基本的に工事費は自身が負担することとなります。

賃貸物件に住む場合も「管理費」という名目で費用は発生しますが、持ち家にかかる費用とは違い出費が明確です。その点、持ち家の場合は月々の引き落としこそないものの、いざ工事が必要になったときに具体的な金額が判明するため、予測不可能な出費になることはデメリットになり得ます。

まとまった資金やローンが必要


戸建てを新築する場合、安価な価格帯でも1,000~2,000万円程度の費用がかかり、高級な仕様に近づくにつれて3,000万円、4,000万円と徐々に値段が上がります。数千万円の費用を一括で用意できるケースは少ないため、大半の場合は住宅ローンを活用することとなるのです。

またローンを利用する場合であっても、家の購入時に負担する頭金や諸費用(税金等)の用意が必要となります。賃貸物件であれば、直接的な出費は入居時の敷金返金や契約中の家賃のみであるため、支出やローンを組むことに抵抗がある場合には持ち家の戸建ての方が負担は大きいといえます。

気軽に住み替えできない


多くの場合、持ち家はローンを利用して購入します。ローンの返済が終わるまでに住み替えをすれば、二重に支払いが発生するため、持ち家がある場合の引越しは容易ではありません。

経済的に余裕がある場合は例外ですが、基本的には持ち家を購入すると住み替えのハードルが高くなる点に留意しなければなりません。

住宅にかかる税金が発生する


賃貸物件に住んでいる場合は、住居に関連する税金の支払いはありません。しかし、持ち家として戸建てを建てると、いろいろな税金が発生するのです。

たとえば、家の購入時には登録免許税や不動産所得税、印紙税などの負担が生じます。また家の購入後には固定資産税が毎年発生し、さらに場所によっては都市計画税が課せられます。

まとめ

夫婦で老後を過ごすための戸建てづくりは、以下の観点を考慮した方が良いでしょう。

  • 移動の利便性
  • 階段など室内の段差
  • 子どもと同居する可能性
  • かかりつけ医・病院までの距離

シニア世代へ突入すると、家に求めるものは現役世代のころと違ったものになるため、本記事を参考材料の1つとしていただければ幸いです。