意外と見落としがちな土地の地盤の強い、弱いを見極めるためのポイントは?
日本は地震が多く発生するため、住宅を建築するときには地盤の強さ・弱さを調べることが大切です。
しかし、地盤の強さ・弱さはどのように調べたらよいのか、わからないという人も多いことでしょう。
実は地盤が強いか弱いかを調べる方法は多くあり、住宅を建築するときには必ず確認しておきましょう。
本記事では地盤の強さの確認が大切な理由、地盤の強い土地・弱い土地の特徴について解説します。
地盤の強さの確認が大切な理由
地盤の強さの確認が大切な理由は、日本では地震発生回数が多く、地震に強い住宅を建てるのが重要だからです。
2022年の地震発生回数や最大震度を観測した地震は、次のとおりです。
- 震度3以上の地震:206回
- 震度5以上の地震:15回(2021年は10回)
- もっとも震度の大きかった地震:3月の福島県沖地震で震度6強(福島県相馬市など)
このように多くの地震がおき、建物が倒壊するような地震も発生しています。
また、2023年6月には、石川県珠洲市で震度6強の地震があったことはまだ記憶に新しいと思います。
このように日本では大きな地震が起きることもあり、土地を購入するときには地盤の強さまで確認することが大切です。地盤の強弱を確認し住宅建築すれば、地震の被害を抑えられます。
地盤の弱い土地の特徴
地盤の弱い土地の特徴は、次のとおりです。
- 埋立地
- 盛土された場所
- 川や湖、海などに近い場所
地盤の弱い土地は人工的に土地を作り上げたりした場所や、水が近い場所に多い傾向があります。
ここからは、地盤の弱い土地の特徴について解説します。
埋立地
埋立地とは、海や河川を土で埋めて宅地にした土地です。
埋立地はもともと海だったケースがほとんどであり、周囲を海に囲まれています。また、新しい土地であるため、水分が蒸発しておらず柔らかいのが特徴です。
埋立地は柔らかく揺れを伝えやすいうえ液状化に弱いことにも注意しなければいけません。
盛土された場所
盛土とは、傾斜のある元から土地だった場所を平らにするため、土を新たに足した場所です。
盛土された部分と元から土地だった部分はなかなか接着せず、地震が起きると境の部分が地滑りを起こしてしまいます。そのため、盛土がされた場所では不同沈下が起きやすくなってしまいます。
川や湖、海などに近い場所
川や湖、海などに近い場所は、土地に水分が染み込み柔らかい土地になってしまいます。
また、河口部分の土質は土や砂など粘土質であり、土地が固まりきっていません。地震の揺れが伝わりやすく、液状化現象が起きやすい地域もあります。
地盤の強い土地の特徴
地盤の強い土地の特徴は、次のとおりです。
- 高い場所
- 歴史がある地域
- 神社や仏閣が近くにある場所
地盤の強い土地は、昔から使われている土地に多い傾向があります。
上記の特徴はあくまで目安であるため、本当に地盤が強いか確認するときにはボーリング調査をおこないましょう。地盤の強いエリアだとしても、弱い場所が点在していることもあるからです。そのため、あくまで地盤が強い傾向にあるという程度に考えてください。
ここからは、地盤の強い土地の特徴について解説します。
高い場所
高い位置にある土地、水が溜まりにくく地盤が固い傾向があります。
高い位置というのは標高の高さではなく、周辺と比べて高い位置に土地のことです。
水は低いところに流れていく特性があり、高い場所ほど水分が蒸発し土地が固くなっていきます。
歴史がある地域
歴史がある地域は、昔から人のいる場所であり災害が起きにくい場所ともいえます。
昔は今よりも災害を防止する設備が少なく、防止するという考えではなく、災害が起きにくい場所を選択し住んでいました。そのため、昔から集落がある場所は比較的地震に強い地域に集まっています。
神社や仏閣が近くにある場所
神社仏閣がある場所は、地盤が強い傾向にあります。
神社仏閣は昔から人が住んでいる場所にあり、高い位置に建築されているケースが多くあります。また、神社仏閣がある場所は昔から人が住んでいる証です。
ただし、すべての神社仏閣が強い地盤に建築されていることはないため、ハザードマップなどと照らし合わせたうえで判断していきましょう。
地盤の強さを確認する方法
地盤の強さを確認する方法は、次のとおりです。
- 古地図で確認する
- ハザードマップを確認する
- 地盤調査をおこなう
地盤の強さを確認する方法はありますが、正確な強さを知りたいときにはボーリング調査をおこないましょう。そのほかの方法はあくまで目安であり、地盤の強さを正確に測る方法ではありません。そのことを理解しつつ、地盤を調べる方法を確認していってください。
ここからは、地盤の強さを確認する方法について解説します。
古地図で確認する
歴史のある街かどうかは、古地図を確認しましょう。
古地図を調べれば、昔から人が住んでいるかどうかの確認が可能です。
確認するのは明治時代くらいの地図が適しています。江戸時代くらいの地図だと信用性が低く参考にならないことがあります。
古地図は図書館や各自治体の資料課で閲覧できる場合があるため、各施設を訪れて資料を確認してみましょう。
ハザードマップを確認する
地盤の強さは、ハザードマップで確認が可能です。
各自治体は地震のハザードマップを作成しており、液状化しやすい場所や揺れやすい場所を公表しています。
ハザードマップは、インターネットで確認できます。
地盤調査をおこなう
地盤調査をおこなえば、正確な地盤の強弱がわかります。
地盤調査をするときには、ボーリング調査をおこないます。
ボーリング調査とは、地盤に柱状の穴をあけて地盤ごと抜き取り、地盤の強弱を調査する方法です。
住宅建築の前には必ずボーリング調査をおこない、地盤の強さを調査します。そして、調査結果にもとづき、適切な地盤補強工事を実施します。
弱い地盤でも補強は可能
弱い地盤を補強する方法は、次のとおりです。
- 表層改良
- 柱状改良
- 既製コンクリートパイル
- 小口径鋼管
地盤が弱い場所に建物を建築するときには、地盤補強工事をおこないます。
地番の弱さの度合いによって施行する補強工事の内容が変わり、工事金額も変わることには注意しましょう。
ここからは、地盤を補強する方法について解説します。
なお、工期・費用は一般的な一戸建てを建築したときのものです。建築する建物の大きさや構造、地盤の強弱により変動します。
表層改良
表層改良とは、地盤の弱い部分を2m前後掘削し、その場所にセメントミルクを流し込み地盤を補強します。
表層改良がおこなわれるのは、比較的地盤が固い地域で表層だけ地盤が弱いときに用いられます。
工期は1日~2日かかり、費用はおおよそ80万円~150万円です。
柱状改良
柱状改良とは、地中2m~8mの穴を空け、穴の中にセメントミルクを流し原土と撹拌して柱状の改良体を作って補強します。
柱状改良がおこなわれるのは、2m~8mの間に固い地盤があるときです。一般的に表層改良ができない弱い地盤で施行されます。
工期は1日~2日かかり、費用は80万円~120万円です。
既成コンクリートパイル
直径約20cmある既成コンクリートパイルを、地中に打ち込み建物を支える工法です。
既成のコンクリートパイルは地中20mくらいの深さまで打ち込みできるため、支持層が深くても利用ができます。
既存コンクリートパイルは、表層改良や柱状改良では対応できないような弱い地盤で利用されます。
工期は1日~2日かかり、費用は100万円~150万円です。
小口径鋼管
直径約11~14cmの小口径鋼管を、地中に打ち込み建物を支える工法です。
既存コンクリートパイルと同じく、地中20mくらいまでの深さまで打ち込めます。
小口径鋼管は敷地が狭い場所でも利用できるため、地盤の弱い狭小地に重量のある建物を建築するときに利用されます。
工期は1日~2日かかり、費用は150万円~200万円です。
まとめ
住宅を建築するときには、地盤が強いか弱いか確認しておかなければいけません。
強い地盤か弱い地盤かはある程度把握する方法があるため、土地探しをするときに確認することをおすすめします。そして、希望にある土地が見つかったら、すぐにボーリング調査をおこない正確な地盤の強弱を調査しましょう。
また、かりに購入希望の土地の地盤が弱かったとしても、補強する方法があります。
補強には工事時間や費用が必要ですが、希望の土地にマイホームを建築するためには必要な費用と考えましょう。
地盤の強弱を調べ適切な地盤補強をすれば、安心して生活を手に入れられることでしょう。