日照権とは?一戸建て住宅で気を付けたい起こりえるトラブルを解説!
建築基準法に則って戸建住宅を建築しても、一戸建て住宅では日照権で苦情を言われ、てしまうこともあります。
最悪の場合日照権の侵害で訴訟トラブルに発展してしまうこともあります。
本記事では、日照権とは何かを解説し、トラブルを回避するためにはどのようなことが必要なのかについて紹介します。
日照権とは
戸建住宅を建てる際に切っても切り離すことができない「日照権」とはどのようなものなのかについて簡単に解説します。日照権とは、「建物に対し必要最低限の日当たりを確保する権利」を指します。
他の権利と異なり日照権を明記する法律するものはありません。
しかし、建物を建てる際にはいくつかの「制限」を設け、その制限が「日照権」を確保するものになっています。具体的に、どのような権利が存在しているのかについて紹介していきましょう。
建物の高さに係る制限「日影規制」
日影規制(にちえいきせい)は、日影を一定時間内に抑えることで、周辺環境を保護するものです。
1年で最も日照時間が短い「冬至」の午前8時から午後4時までを基準として、測定をします。日影規制だけでと「斜線制限」と合わせて建物の高さを定めます。
隣の建物の採光・通風を確保する「隣地斜線制限」
「隣地斜線制限」は、隣の建物の採光、通風を確保するための目的として定められています。隣の建物の高さが20メートルまたは、31メートルを超える部分へ制限があり、オフィスビル、マンションが該当します。
また、建物を建てる地域が、第1種、第2種低層地域、田園地域では高さ10メートル、12メートルと制限されていま
す。
道路の反対側の建物に配慮・応じた制限「道路斜線制限」
道路を挟む、向かい側の建物の採光、通風を確保するために定められている制限です。建設する際は、道路の反対側の境界線より上空に向かい、一定の勾配で引いた斜線に対し下回るように建物を建てなければなりません。
建物の北側の採光・通風を確保「北側斜線制限」
建物の北側の採光・通風を確保するために定められている制限です。制限を制定する方法は、北側の隣地から敷地を斜めの線で引き、建築可能な範囲を計測します。
日照権と受忍限度
日照権は近隣の建物によって侵害されることがあります。例えば平屋の家を3階建てに建築する場合、隣接している家の日照権が侵害する可能性があります。隣人が「日照権を侵害された」と判断した場合に限り、工事差し止めや損害賠償請求をおこなうことが可能です。 もちろん、日照権が侵害されていると主張をしても、侵害した事例とそうでない事例があります。決めるのは、裁判所による客観的な判断です。日照権で鍵となるものは、「受忍限度」です。受忍限度とは何かについて解説してきましょう。 受忍限度とは、影響を与える人が我慢できる範囲をさします。我慢の程度は人によってさまざまですが、明確な法律の明記がありません。そこで、各自治体は以下の基準を設けて受忍限度を判断しています。 ・日照阻害がどの程度の時間、どの程度の範囲でおこなわれているか 上記のポイントを見てもわかるように、受忍限度には明確な物差しで判断することが難しく、ケースバイケースで裁判所が判断をしています。 日照権の侵害を主張する前に、上記のいずれかに該当をしていることを想定してください。受忍限度の基準
・どちらが先に建物を建てたのか
・住宅街、商業地域どちらに該当するか
・被害者の生活にどのような影響を与えているのか
・建築基準法や規制に違反をしていないか
・訴訟を起こした経緯
日照権でよくあるトラブル例
日照権の侵害では、認められるケースとそうでないケースがあります。それぞれの事例を知っておくことで、トラブルに発展した場合でも対処できるでしょう。
●日照権侵害が認められるケース
よくある事例としては、マンションの建設による日照権の侵害です。高さ20メートル以上のマンションを建てる場合、近隣住民の主張によって、建築会社に対して建築差し止めを求めることができます。
マンション以外では、2階建の建物をリフォームする際3階に増築する場合、基準以内に建てられていても他の住民から日照権の侵害を主張されることがあるので注意が必要です。
●日照権侵害が認められないケース
もちろん、全ての事例で認められるわけではありません。マンションを建築した場合でも受忍限度の範囲内であると判断されれば侵害が認められないこともあります。
もしも建築後に日照権侵害を主張された場合は
戸建住宅を建てる方が、最も注意したいことが、新築の建物を建てた後に「日照権の侵害」と主張されてしまうことです。
主張された時に、侵害をしていないと認められるためには建築基準法に則って建物を建てたと主張をする必要があります。
侵害されないようにするためには、経験豊富な業者に依頼をし、近隣住民の日照侵害を与えないようにしてもらいましょう。
近隣住民へ快適な環境を配慮するためには?
新しく建物を建てる際は、近隣住民への配慮が必要です。建物を建てることによって、これまでの採光が取れなくなってしまうことも考えられます。大切なことは、近隣住民と話し合いをして理解をしてもらうことです。
不安であれば、建築する際に業者に相談をしてトラブルを発生させないようにするために何が必要なのかをヒアリングしましょう。
日照権に影響されない建物づくり
新築の建物をこれから建てる方は、他人の日照権を侵害しないような家づくりも考えておきましょう。
日当たりについてしっかり考えておくことで、立地が見込めない土地でも、建築時に工夫次第で採光、通風を確保することができます。建物を建てる際の参考にしてください。日照権を侵害された場合でも、日光を直接採り入れることができるでしょう。
中庭から建物に日光を入れる
建物を建築する際、屋根のないスペースをあえて事前に作ることで、建物の内部に日光を採り込むことが可能です。
中庭をつくれば、隣の家が隣接している場合でも、日光を採り入れることが可能です。
天窓を取り入れて天井から日光を入れる
建物の天井に窓を取り付けて、空に向かって光を採り入れるようにします。天窓は天井に設置するため、他の建物に影響されずに光を取り込むことが可能です。
高窓を使い採光を確保する
一般的な窓に比べて高い位置に設置をする「高窓」を設置することで、周辺の建物に影響されることなく光を取り込むことが可能です。
周辺の建物に影響されない家づくり
戸建住宅を建てる時に大切なことは、周辺の建物に全く影響を受けずに新しい家づくりをおこなうことは不可能です。
自分の住宅を建てる際にはある程度対策が可能ですが、建てたあとに日照権が侵害される可能性が
0であるとは言い切れません。
周辺環境に変化があってもある程度対処できるように建物の設計を考えておくことです。また、商業地域などではオ
フィスビルやマンションなど高さのある建物が建てられる恐れもあるので、周辺地域の確認をしておくようにしましょう。
まとめ
一戸建て住宅を建てる際は、自分の家のデザインに集中するだけでなく、建物に関するさまざまな規制を知っておく必要があります。日照権はそのうちの1つの用語にすぎません。住宅を建てる際には、経験豊富の業者からさまざまな意見を聞き、トラブルのない家づくりを実現させるようにしてください。